異世界探偵アレン

第14話 新たな仲間

アレンとリナは、学園内に探偵事務所を正式に設立する準備を進めながら、次第に周囲の期待と注目を集めていた。学園長からも正式な許可が下りたことで、二人は封印を守る守護者としての責任を果たしながら、異世界全体の平和を守る活動を行っていく決意を新たにしていた。

「アレン、ついに探偵事務所が動き出すんだね」

リナが嬉しそうに語りかけると、アレンも自信に満ちた表情で頷いた。探偵事務所の準備が整った今、次に必要なのは、彼らをサポートしてくれる仲間だった。封印を守るためには、自分たちだけではなく、共に力を合わせてくれる仲間が必要だと感じていた。

「リナ、探偵事務所をしっかりとした組織にするために、僕たちには協力してくれる仲間が必要だよね」

リナもその意見に賛同し、学園内で信頼できる者たちをリストアップし始めた。すると、リナがある生徒の名前を挙げた。

「ねえ、アレン。フィンって知ってる？彼、学園の中でも魔法に関してすごく優秀だって評判だし、冷静な判断力もあるんだよ」

アレンは思い出すように、フィンの名前を口にした。フィン・アルスターは学園内で有名な生徒で、攻撃魔法と分析能力に長けていると言われていた。その実力は一目置かれており、探偵事務所にとっても大きな戦力となるだろう。

「フィンか…確かに頼りになりそうだね。早速彼に話をしてみよう」

翌日、二人はフィンがいると聞いた訓練場に向かった。フィンは細身で背の高い少年で、真剣な表情で訓練に励んでいた。彼の集中した姿勢と鋭い眼差しには、ただならぬ意志が感じられた。

「フィン、少し話を聞いてもらってもいいかな？」

アレンが声をかけると、フィンは訓練の手を止め、静かに彼らの方を振り返った。その目には警戒と好奇心が入り混じっているようだった。

「君たちが、学園に探偵事務所を作るっていう噂の二人か」

フィンの低い声が響き、彼の冷静な雰囲気に圧倒されそうになる。しかし、アレンはその雰囲気に臆せず、真剣な表情で話を続けた。

「フィン、君の力を貸してほしい。僕たちは封印を守るための活動を進めていて、そのために君のような分析力と魔法の実力が必要なんだ」

フィンはしばらく考え込むように視線を落とし、やがてゆっくりと口を開いた。「封印の守護者としての活動…興味はあるけど、僕にそれだけの価値があると思うか？」

彼の言葉にはどこか自己評価の低さが感じられ、アレンは意外に思った。しかし、リナがその意図を理解したように微笑み、優しく言葉をかけた。

「フィン、君はとても優れた魔法使いだし、私たちは君がいてくれるだけで大きな助けになるよ。だからこそ、一緒にやってみない？」

その言葉にフィンは少し驚いた表情を浮かべ、やがて小さく頷いた。「…分かった。君たちがそれほど信頼してくれるなら、協力してみるよ」

こうしてフィンが仲間に加わり、アレンとリナは一層力強いチームを築くことができた。しかし、まだ彼らにはもう一人、特別な役割を担ってくれる仲間が必要だと感じていた。それは、封印に関する古代の知識に精通し、情報収集や魔法に関する知識を提供できる者だった。

「アレン、そういえば、学園の図書館でいつも古代魔法の書物を読んでいる子がいるんだけど、彼女も役に立つかもしれない」

リナの話を聞いたアレンは、すぐにその生徒のことを思い出した。彼女の名前はエミリア・グレイス。小柄で物静かな少女でありながら、図書館にこもっては膨大な知識を吸収していると言われている。

「エミリアなら、封印に関する知識も豊富かもしれないね。彼女にも声をかけてみよう」

その日の夕方、二人は図書館でエミリアを見つけた。彼女は分厚い本を抱え、静かに読みふけっていたが、アレンたちが近づくと少し驚いたように顔を上げた。

「エミリア、少し話を聞いてもらえないかな？」

アレンが優しく声をかけると、エミリアはおどおどした表情で彼を見つめた。少し内気な性格のようだが、彼女の瞳には確かな知識と知恵が宿っているのが分かった。

「…私に、何か用事ですか？」

エミリアの控えめな声が響くと、リナがすかさず話を進めた。「エミリア、私たちは学園で探偵事務所を立ち上げて、封印を守るための活動をしようとしているの。君の知識があれば、とても助けになると思って…」

エミリアは少し戸惑った様子で、視線を落とした。しかし、しばらく考えた後、意を決したように口を開いた。

「私…実は、封印に関する古代魔法のことを研究しているんです。それが役に立つなら…協力してみたいと思います」

アレンとリナは喜びを隠せず、すぐに彼女に感謝の言葉を述べた。エミリアの豊富な知識が、封印を守るための強力な武器になることを確信していた。

こうして、フィンとエミリアが新たな仲間として加わり、アレンとリナの探偵事務所はさらに強力な組織となった。彼らはそれぞれの役割を分担し、封印を守るための活動を本格的に始める準備を整えた。

フィンは主に戦闘や防御を担当し、エミリアは情報収集と古代魔法の知識を提供する役割を担うことになった。アレンとリナは仲間たちと共に、探偵事務所の方針や活動内容について話し合いを重ねながら、異世界全体の平和を守るための具体的な計画を練り始めた。

「これで準備は万全だね。これからは、封印を狙う者たちにも立ち向かえる力を持つことができる」

アレンが力強く言葉を発すると、仲間たちもその言葉に呼応するように頷いた。新たな仲間との絆が深まり、探偵事務所の活動が本格的に動き出そうとしていた。

こうして、アレンたちは異世界の平和と封印を守るために、探偵事務所の設立と準備を整えた。彼らの前には数々の試練と謎が待ち受けているが、それでも仲間と共に立ち向かうことで、確かな未来を切り開いていく決意を固めていた。