異世界転移系のなにか

第1話

　朝（あさ）、目（め）が覚（さ）めた。いつもどうりの朝（あさ）だ。学校（がっこう）へ行（い）く支度（したく）を済（す）ませ、家（いえ）を出（で）る。

　通学路（つうがくろ）を歩（ある）いていると、「よっ！今日（きょう）も眠（ねむ）そうだね」と玲（れい）の声（こえ）が聞（き）こえてくる。玲（れい）とは同（おな）じ部活（ぶかつ）に所属（しょぞく）していてとても仲（なか）が良（よ）い。「昨日（きのう）寝（ね）たの４時（よじ）だからね」「そんな時間（じかん）まで何（なに）してたんだよ」「んー、提出物（ていしゅつぶつ）。今日（きょう）提出（ていしゅつ）なの忘（わす）れてた」そんな会話（かいわ）をしているうちに学校（がっこう）へ着（つ）いてしまった。

　玲（れい）とはクラスが違（ちが）うのでここでお別（わか）れだ「また後（あと）で」と言うと「部活（ぶかつ）サボんなよー」と返（かえ）ってくる。もちろんだ。クラスに入（はい）るといつもと違（ちが）い、少（すこ）しざわついている。「なんかあったの？」と尋（たず）ねると「急遽（きゅうきょ）朝会（ちょうかい）だってさ、めんどくせー」ということらしい。そうしてるうちに担任（たんにん）の教師（きょうし）が入（はい）って来（く）る。

「それじゃあ、皆（みな）さん知（し）ってると思（おも）いますが朝会（ちょうかい）があるので体育館（たいいくかん）に行（い）きます。並（なら）んで下（くだ）さい」と、教師（きょうし）が指示（しじ）を出（だ）すと全員（ぜいいん）並（なら）び始（はじ）め、体育館（たいいくかん）へと向（む）かう。

　体育館（たいいくかん）に着（つ）き、朝会（ちょうかい）が始（はじ）まった。校長（こうちょう）が前（まえ）に立（た）ち、話（はなし）始（はじ）める。「今日（きょう）皆（みな）さんに集（あつ）まってもらった理由（りゆう）は、皆（みな）さんが選（えら）ばれたからです。」すると、体育館（たいいくかん）中（じゅう）で「え？どういうこと？何（なに）に選（えら）ばれたの？」という声（こえ）が聞（き）こえてきた。「今（いま）から少（すこ）しの間（あいだ）その場（ば）でじっとしててください」校長（こうちょう）がそう言（い）うと突然（とつぜん）、体育館（たいいくかん）の床（ゆか）が輝（かがやき）き始（はじ）め、光（ひかり）に包（つつ）まれてしまった。

　気（き）がつくと、そこは体育館（たいいくかん）ではなく城（しろ）の大広間（おおひろま）のような場所（ばしょ）にいた。「よく来（き）てくれました。英雄（えいゆう）達（たち）。私（わたし）はヴィンヴェルト王国（おうこく）の王（おう）、アリス・ヴィンヴェルトと申（もう）します。」国王（こくおう）と名乗（なの）るものが立（た）ち上（あ）がり、こちらに歩（あゆ）み寄（よ）ってくる。「現在（げんざい）、この世界（せかい）は非常（ひじょう）に不安定（ふあんてい）な状況（じょうきょう）にあります。魔王（まおう）と呼（よ）ばれる者（もの）が突然（とつぜん）現（あらわ）れ、この世界（せかい）を侵略（しんりゃく）し始（はじ）めたのです。そこで、私（わたし）のスキル「異世界転移（ヒーローコール）」を使（つか）い、この世界（せかい）を救（すく）う英雄（えいゆう）を呼んだのです」どうやら異世界（いせかい）に転移（てんい）したらしい。夢（ゆめ）でも見（み）てるみたいだ。他（ほか）の生徒（せいと）も同（おな）じく、「漫画（まんが）の世界（せかい）みたい」「ゲームのやり過（す）ぎかな...」などと聞（き）こえてくる。「これは夢（ゆめ）ではありません。現実（げんじつ）です。とりあえず今日（きょう）は休（やす）み、明日（あした）詳（くわ）しく話（はな）します。部屋（へや）は用意（ようい）してあるので安心（あんしん）してください。それではまた明日（あした）。」国王（こくおう）がそう言（い）うと騎士（きし）らしき人物（じんぶつ）達（たち）が一斉（いっせい）に案内（あんない）を始（はじ）める。「お前（まえ）はこっちだ。ついて来（こ）い」そう言（い）われついて行（い）く。「お前（まえ）の部屋（へや）はここだ。また明日（あした）迎（むか）えに来（く）るからゆっくり休（やす）め」そう言（い）い残（のこ）し、どこかに行（い）ってしまった。「まさか異世界（いせかい）に来（く）るなんて――。」そう思（おも）いつつベッドに横（よこ）になると眠（ねむ）ってしまった。