白い海で

みつき美希

白い海で

ねぇお前、幸せだった時はある?やさしく鶏の皮を剥ぎ取る


癇癪の炎の色はアンの髪そう思いつつ人参を切る


玉ねぎのまなかに孤独シンとあり 包丁ぬぐい光らせてみる


結局は泳がされてるだけかしら 嘘をかためたルウ割り入れる


白い海へ放りこまれて煮込まれてわたしも生贄ですらないよ


秋風に吹かれるハーブの淋しさをひとつまみ入れ隠し味にす


去年のちょうど今日の日のこと思いつつあまくシチューをたっぷり煮込む

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

白い海で みつき美希 @mikilk_mint_min

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る