第61話  聖女と聖騎士と3Pと


 ──今思えば、私の夢というものは、聖騎士などではなかった。

 きっと、私は。


 意識が微睡のトンネルを抜け、いまだに曇るライラの目に写ったのは、豪勢な部屋。


 まるで、王女の住むような可愛らしく、キラキラとした内装。何故だか、奥には場違いな扉がある、妙な部屋だ。


 背中に当たるのは、柔らかながらも少し弾力のあるマットレスだ。金色の細工が施されたベッドの天蓋はシャンデリアの光を浴びて、輝いているように見えた。


(ん、なんだ? 変な感じがする)


 声が出せない、手足も動かせない。


(いや、違う。これは、体の制御と感覚、心を切り離されているらしいね)


 風景を見ているのは、自分の目だ。感覚自体は生きている。肌触りも、音も感じる。

 しかし。


(やはり動かせない、か)


 指先一つすらも、制御が効かない。


(記憶も少し……混濁している。私は……アーカムの元へと辿り着き……どうなったんだ)


 そこまでは覚えている。赤い花の平原、その風景も鮮明に思い出せる。

 だが。


「お前……本気か?」


「勿論ですっ。救世主様なら、きっとライラお姉様も気に入っていただけますもの」


 がちゃり、奥の扉が開く。


(マリア……様とルークとかいう馬の骨か。というか、今、お姉様と呼ばれた?)


 驚きもひとしお。二人は部屋に入ってくると、ゆっくりとベッドに歩いてきた。


 マリアはベッドに登ってくる。


「ライラお姉様。今から、することをどうかお許し下さい」


「なんで、そんなにノリノリなんだ」


「だって、お姉様と一緒に眠るなんて久々なんですもん」


 するり。修道服がマリアの体を滑り、ベッドに落ちる。


「お姉様、優しくして差し上げます」


(なっ!? 何を!? マリア!? 男の前で、肌を見せるなんて……あ、あと優しくって何をするつもりっ!?)


「さあ、お姉様。一緒に気持ちよくなりましょう?」


(ひっ!?)


 白くて細いマリアの指が、すっとライラの太ももの合間を撫でた。


「いいんだな? 本当に」


「はい、お願いします」


 ルークもベッドに上がってくる。そのまま、ライラの頬に触れた。


(くっ! マリアだけではなく、この私にも……許せない)


「──《ゴッドハンド》」


 ぴくりと、ライラの体が動く。


(なっ!!??)


 ライラが驚いたのは、急激に体が火照るのを感じたからだ。しかも、体が思うように動かさないことによって、その刺激はぐっと濃密に意識に刷り込まれる感覚すらした。


「救世主様、では私からお願いします」


 マリアは一糸纏わぬその体を、ルークの上半身に押し付けるようにして、誘っていた。


(ま、マリアっ!?)


「……んっ」


 二人の啄み合うような深い口付けが終わると、糸を引いた唇をマリアは蠱惑的に舐める。


 そうして、その熱に浮いた瞳がライラへの向く。


「──さあ、お姉様」


 マリアの唇が、ライラの唇へと近づいてゆく。


(ま、マリア……だ、ダメだっ! そんなのはいけないっ!)


 そう強く、思ってはいた。しかし。


「ん、ちゅ」


(な、何故私の体は……)


 ライラの体はまるで、それを望んでいたかのように、受け入れる。  


 水音が柔らかく、壁を撫でるように響いた。


「ライラ、今からお前の体を気持ち良くする。痛いことは、絶対にしない。苦しいことも、嫌なことも」


(そんなこと、この私が許すとでも……)


「分かった」


(ええっ!?)


 返事をしたのは紛れもなく、ライラの口だった。


「無駄です、お姉様。お姉様の体は、今アーカムの魔法の制御下にあります。それを緩和するために先ほど、副作用で素直になってしまう魔法おかけしています」


(……なんだ、その魔法。聞いたこともない)


 しかし、効力は絶大なようだった。


「さあ、魔法解除のために、わたくしと一緒に気持ちよくなりましょう? お姫様っ」


(っ! お、お姫様っ!?)


 どきり、と胸が高鳴ってしまった。

 昔、修道院で暮らしていた頃のままごとをまだ覚えていてくれたのだ。


 あの頃は、ライラがお姫様役で、それを助けに来る騎士こそがマリアだった。


(本当に、懐かしい……ひゃぅ!)


 それは、感じたことのない快感。


「ライラ。お前は、これからどうして欲しい?」


「もっと、激しくして欲しい」


(な、なにぃ!?)


「お姉様ったら。えっちですね」


 三人の熱狂の夜は続く。

 何処までも深く、柔らかくライラの声とマリアの声は響いた。



────


あとがき


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SSSスキル『ゴッドハンド』の拷問官。捕虜の女の子を拷問していたら、気づけばハーレムを作っていた。〜追放転生者の復讐無双譚 沙悟寺 綾太郎 @TuMeI

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