第2話 和の町 越中八洲
広大な面積を誇る和の町(越中八洲)は、500~600程の人数が住んでいる。町は中心から住宅地が広がり、外周に向けて宿屋兼集会所やよろず屋など様々な建物がある。この町は雨が降り続けている状態がずっと続いているため簡素的な葉っぱの笠を使ったものが特徴的だ。そしてこれが一番重要なのだけどなんとこの町は山の斜面に削って作られていることだ。何故この場所に作られたか謎に包まれている。特に驚くのが山と山の間を簡易的なつり橋を架け、その間を行き来すること。その上部にも草木が生い茂ることで笠の役割をしている。そのため、雨がどれだけ降っていても浸水することはない。また、一般の旅人が見つけにくくことに加え森及び山の中にあることで、敵を入れさせない構造になっている。その逆もしかりひとたび入れば逃げ出すこともできない構造ともいえる。逃がさない鳥かごに近いかもしれない所々には外灯が存在する。そのすべては灯籠(とうろう)であり明かりの強さはそんな派手ではないものの、等間隔には配置されている。特に家の両サイドには設置されていたり、山を少し削って出来た石の階段の両サイドにも存在する。それに階段の両脇には水を逃がすように排水するための窪みがあるため移動経路には水が溜まりにくいのだ。
階段を登りきると大きな家屋が存在する。その場所は今自分達が住んでいる場所だ。
木造建築であるものの一定の大きさがあることからある程度の面積がある。水はけの良い石が綺麗に光を照り返している。
様々な人がいる自分が元いた世界では妖と呼ばれる鬼だったり天狗など沢山の種類がいたりする。特に多いのは人間だったりするのだが、意味なく嫌うことはしなかったりする。いろんな種族がいても争いが起きたりはしない。町の中心に位置する場所には他の家よりも大きな家屋が立っている。その周りには鬼の門番が立っており、しきりにこちら見てくる。余所者であることと鬼自体がそもそも人間があまり好ましく思ってはいないのだろう。その家には大層大きな鬼が住んでいるそうだ。門番に立っていた鬼の倍の大きさがあるのだとか。自分は会ったこともなければ見たこともないため、師匠に聞いたかぎりなんだけど。
雨が降るのもその鬼が邪法を用いて降らせているだとか様々な噂があるのだがどれが本当のことなのかは分からない。ただ言えることはとても怖い鬼がいるということだけ。
洗濯物を桶に溜めた水で洗いながら、しきりに見てくる鬼の視線が気になる。
「そんなに見つめても何もしませんよ」
鬼の視線がギロっとこちらを向く。
「なんだ、人間。気づいていたのか、そろそろ家主が来るからそろそろ声を掛けようと思っていたところだ」
ガハハっと笑いながらも瞳の中は全く笑っていないので自分は即洗濯物を片付けて自分の師匠がいる家に戻るのであった。
異世界は甘くない 異世界転生に憧れて @kakukiy
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