鋼の夜

甘栗ののね

鋼の夜

 夜の道を歩く。鋼の檻の中。


 黒い地面を舐める。鉄錆と泥のにおい。


 晴れた日の月の裏に私の魂をかくして。


 朝日が昇る前にすり減って消えてしまうから。


 夜の道を歩く。暗がりで笑う私。


 過去は幻。未来は空想。今は空虚で私は空っぽ。


 笑い声だけが響く。


 線路の音が聞こえる。

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鋼の夜 甘栗ののね @nononem

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