第3話 復讐の戦い

寝静まった深夜の住宅街。平穏なはずのその場所で激しい死闘が繰り広げられている!




「アオォォォォォンンン!!!!」




チンピラ、いや人狼が咆哮と共に駆け出す!

残像が発生するほどの高速移動!

狙いは竜人と化した赤矢だ!




「八つ裂きダァァァァ!!」




繰り出されっるのは獣爪による高速乱れ引っ掻き!狼の筋力と身体能力によって繰り出される斬撃!それは人間を容易く肉ミンチに変える!



だがそれは相手が生身の人間だったらの話。



人狼が対する相手は人間ではない!

ワスレガミとの契約者だ!




(見切れる...!目と身体が追いつく!)




繰り出される爪撃を紙一重で躱す!人ならざる反射神経、運動能力が即死の攻撃をやり過ごす!




「グッ!?クソがァァァ!!」




当たらない爪撃で仕留めるのを諦める。

人狼はさらに間合いを詰めて上段蹴りを放った!


今度は回避できるタイミングではない!

狙われた頭部はカボチャの如く砕け散るだろう!




「なっ!?」


「なんだ...余裕じゃないか!!」




だが蹴りは顔面に当たる直前で防がれる!

常人なら即死の蹴りを防いだのは、黒い鱗に覆われた竜腕だった!


蹴りを食らってもビクともしない赤矢!

彼もチンピラ同様、人知の通用しない人外だ!




「じゃあ...今度は僕の番ッ!!」


「なっ...!?まさか!?」




青年の口から煙が漏れる!とっさに距離を取る人狼、次に何が来るかを本能で察知した!




【ボオォォォォォォォ!!!!】


「ブレスッ!!」




赤矢の口から激しい炎が放たれる!

直線状に放たれたブレスが夜道を焼き焦がす!




「うっ...!ウォォォォォッッ!!」




遮蔽物になるものはない!

遠くに走って回避できる勢いではない!

横幅の範囲が広すぎて横に回避は出来ない!



決死の覚悟で人狼は上空に回避した!



実際、その判断は正しい。

ブレスを放てる時間は長くない。ほんの数秒、上空に留まればブレスの脅威は避ける。




「随分、隙だらけじゃないか」


「なっ!?」




だが回避できるのはブレスの脅威のみだ。

上空に回避し無防備になった人狼。



そのはるか上に...追い打ちを仕掛けようとする赤矢がいた!人狼の行動を予想し、ブレスの直後に人狼より高く跳躍したのだ!




「サヨナラッッッ!!」




容赦の欠片もない踵落とし!

隙だらけの人狼の脳天を狙った即死の一撃!




「アガッ...!?」




避けることなど、出来なかった!

人狼の頭蓋からなってはいけない音が響く!そして蹴りの勢いそのまま、地面に叩きつけられた!




ドゴォォォォンンンン!!!!




ブレスによって少し溶けたアスファルト。地面に叩きつけられたチンピラがクレータと砂塵を生み出す。そして...この戦いの勝敗が決した。




「アッ...アアァァ...」




地面に叩きつけられた人狼は動けない。

落下による全身骨折、本来なら即死の脳震盪。

それでも生きているのは人狼だからだろう。




「おいおい...もう終わり?」




戦いは終わった。

だがまだ勝負の決着はついてなかった。

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2024年10月6日 21:00

ワスレガミの狂騒 @mjidehansei

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