あとがき

まずはこの作品を最後までお読みいただき、心から感謝いたします。「桜舞う日の約束」シリーズを通して、ここまでお付き合いくださった皆様のおかげで、無事にこの物語を完結させることができました。本作を通して、キャラクターたちの思いと選択が皆さんに伝わり、少しでも心に残る物語となれば幸いです。


この「過去からの贈り物」は、シリーズ全体のクライマックスにあたる重要な位置づけを持っています。これまで「君がくれた明日への一歩」、「未来からの贈り物」で紡がれてきた物語と密接に結びついており、すべての伏線が明らかになる一作です。


ストーリーの流れとつながり

本作のタイトルにある「過去」とは、大城戸将人(クローンの将人)と千紗が背負っているそれぞれの記憶や選択に関係しています。特に、千紗が何度もシミュレーションを繰り返して「浩介くんが生存する世界線」を探しているシーンが象徴的です。彼女が抱く「みんなの幸せ」を追求する意志は、過去に大城戸が抱いていたものと同じものであり、皮肉にもその選択は、大城戸と同じ道を辿ることになります。


将人(クローン)は、自分が大城戸の記憶を持つクローンであるという事実に悩みつつも、最終的には千紗の選択を尊重し、彼女が願った「みんなが幸せな世界」を見守る立場を取ります。この点で、彼は大城戸とは異なる道を歩むことを決断しますが、千紗の選択によって世界が変わる瞬間を目の当たりにすることで、彼もまた大城戸同様に、千紗が望んだ未来を守ることを決意します。


シリーズ全体のテーマ

本作を通じて描かれたテーマは、「選択と犠牲」「友情と愛情」「過去と未来」です。大城戸と千紗、そして将人(クローン)がそれぞれ異なる形で世界を変え、守りたいものを選び取っていく様子が描かれています。そして、最終的に世界を守る選択をしたのは千紗でしたが、その選択が持つ意義や重みは、彼女だけでなく、残された人々に深く影響を与え続けます。


本作が皆さんの心に何かを残し、今後の人生においてもふとした時に思い出していただける物語になっていれば幸いです。


最後に、読者の皆様、そして支えてくださったすべての方々に深く感謝申し上げます。


これからも色々と小説を書いてまいりますので、楽しみにお待ちください。

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桜舞う日の約束 ―― 過去からの贈り物 でし丸 @Decimal

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