跳躍せよ、輝き
ましかく
第1話 プロローグ「さくらいろ」
まさに、「白い稲妻」という言葉がピッタリだった。こんなにかっこいいものなんだ、そんな言葉が口をついて出た。
勉強が嫌いだった。いや、正確には面白くないことが嫌いだった。勉強で面白いという気持ちを持ったことがない。知ることは面白いと思う、ただしそれが公式や英単語となると面白くない。
拒否反応を示す頭に何度も喝を入れて受かったこの高校だ。もちろん難関校とは決して言えない、中堅と言ったところだろうか。教師に首を横に振られながらたまたま受かったのだから嬉しさはひとしおだ。
入学式は校長の文武両道の一言から始まった。お察しの通り、部活も強制であった。
オリエンテーションという名の学校施設案内から始まり、部活の紹介になった。普通なら体育館でおあつらえ向きの部活動紹介をするのだろうが、ここでは各個見学だった。たまたま前後になった男に話しかけ、とりあえず回ることにした。
「どこいく?」
「うーん、出来れば全部みたいや」
「だね、3年間ずっといる部活だし」
「遠いとこから校舎に近づく感じにするか」
公立だと言うのにこの学校はだだっ広い。なんでも昔からの学校らしく、敷地はずっとこの広さらしいー去年建て替えられる前はクーラーも暖房もなかったらしい。ゾッとするー
一緒に歩いていた男に声をかけられた。
「着いたよ、弓道部」
「…全国大会に出場経験あり!高校から始めた人もがほとんどです!…だってさ」
「へぇ、てことは練習ハードなんかな?」
「勉強力入れたい感じ?」
「いや、正直楽しめればなんでもいい」
「だよね、僕も」
ひんやりとした金属製の扉に手をかけて、グッと開く。刹那、がぁん、という音がした。
跳躍せよ、輝き ましかく @SemQuarter
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。跳躍せよ、輝きの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます