「あのキャラクターとコラボ」って嫌いなキャラ使われたら二度とお前のとこのサービス使えなくなるんやぞなめとんのか軽率なマーケティングはやめろ

白川津 中々

 またやってくれた。



 お手軽な値段で24時間やっているハンバーガーチェーンがよりにもよってあのキャラクターとコラボレーション。俺のように蛇蝎の如く嫌っている人間が可視化されているというのになぜ世界展開するような店がそんな真似をするのか。この悪意に満ちた広報活動によって俺は生涯この店のハンバーガーを食べる事ができなくなってしまった。ポテトもコーラも二度と……二度とだ!




 怒りに打ち震えた俺はスマートフォンを手にしお客様センターへ荷電。苦しみ全てをぶつけてやることにした。




「お電話ありがとうございます。メイク・ド・ロードお客様センターです」


「クレームなんですが」


「あ、はい」


「おたくの店で新しくやってるコラボレーションについて、大変不快なのでやめていただきたいです」


「恐れ入ります。貴重なご意見として承ります」


「頼むよ。もう二度とあんたの店でバーガー食べられなくなっちゃったんだよ……コラボ終わってももう食べられないよ……クソ程課金したソシャゲもめちゃくちゃアンインストールしなきゃいけなくなったうえ、食まで奪われていく俺の身にもなってくれよ……なんであんなの広告塔として使おうと思ったんだよ……」


「多くのお客様に親しみをもっていただきたく……」


「俺は憎しみしか抱けないんだよ! 頼むから俺からこれ以上何も奪わないでくれ……!」


「協議してまいります。ご用件は以上でよろしいでしょうか」


「……俺、二度と食えなくなっちゃったけどさ、あんたのとこのバーガー、好きだったよ」


「……ありがとうございます」





 なにも解決しないまま電話は終了。そもそも解決もなにもないのだ。コラボが終わったとしても、俺は生涯あの店の商品を味わう事ができないのだから。このままでは、牛丼もピザも居酒屋だって入れなくなってしまうかもしれない。あぁ、生きづらい……

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