第7話空に笑うリスたち
あの日置いてきた忘れ物を取りにいく。
と言って、旅立っていった少女の声に、ウィスパー夜明けの太陽が兆した帰り道に、ボールを蹴った、階段の下から声がする。
もう朝だよっといった母の声にリスは、笑う。
再会をしたいね。
と言った君たちの夢に、もう何もないなら、ここは空の城
ハロー、もう一度行こうか
ハロー、宇宙が輝いているなら、あの星は、きっと胸の中にある。
秘めたように秘め事をする、ひそひそと話す傍らにいる親友の眼が凍えていたら、毛布を掛けることを覚えてほしい。
空が降ってくる、男の子に振られた乙女の夢に紛れ込んだクローパーは、そんな夢に歯を立てる、まるで唇からこぼれる愛の言葉のように。
こんにちわ、クローパーです
こんばんは、クローパー子ちゃんだよ。
毛布をどけるその手が、母の名を求めるから、僕たちは生きていける。
夜啼きする子供のように、天使の自覚が、冷めるなら、目覚めるコールは、一緒にいたい。
朝になったから、窓を開けてね。
どこかで、失った記憶の底から、母の声がする。
もういないんだね。
君の隣には
なら、そっと耳を澄ませれば、そこにある、何が。
共に苦しんでいる、君の友達。一緒にいるだけで、苦しみが紛れるなら、夜が来ても、大丈夫。
もう、そばに居ない命の価値を知っている、それは、君たち、それは、僕たち。
手を結び合った青春の夜に、求める恋情のワルツを鳴らす、弾いているピアニストは、天使のミオミ
泣かないで何ていえないよ
泣いてもいいんだ。
きっと、思い出に火をくべて、忘れ得ぬ記憶の先に、大空があるから。
永遠を生きていくライブナ
瞬間に踊る僕
その二つにとって、愛は一つ
誓うんじゃなくて、ただ踊ろうよ
クローパーは、囁いている
僕は、大地にいて、君たちは空なら、交じり合う大気の中で、そっと音楽。
ライブナ音楽に酔いしれて、感覚が手をかじかませるなら、擦り合うんだ。
弱いなら、多くの仲間が、やはり弱いから、君はそのままでいい。
僕もそうなんだよ。
とクローパーが言うと、クローパー子ちゃんは、笑った。
そんな物語の中にいるんだ。
ライブナの声は、物語になって、永遠の果てに、綴られる。
それを書くのが、詩人の務めなら、愛の所在を謳った少年は迷子になっている。
でも、この歌が君たちにとどくから、僕の言葉はそこにある。
公園で、探した石の中に君の記憶が化石になった。
そんな自由が、言葉にあるなら、僕は、空の城に届くような大きな声で、こう言いたい。
……
言葉にならなかった。
心話で受け止めてくれ。
ただ言葉が泣くから、こうやって今日も、君たちのことを想っている。
ハロー、ライブナ、ハロー
そしてリスたちは今日も、笑っているのかと信じた僕は、リスにこんにちわと言って、話しかけるんだ。
答えてくれるかな
心で言えば、君たちは、笑うだけ。
そう君たちはきっと、空で笑うリスなんだ。
ワールドリステープ 鏑木レイジ @tuhimurayuki
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