少年はやがて世界を知る

 主人公は伝説の魔術師である師匠と二人で暮らしていますが、ある日破門を言い渡されます。失意の中、一人で森でさ迷っていたところ彼は美しい少女と出会い、彼女と旅をすることになる…という王道のストーリーです。

 この小説の素晴らしい所は主人公のフラムの心情が、高い筆力によって丁寧に描写されていることだと思います。読者はフラムの心の変化に寄り添いながら、共に落ち込み、泣き、笑い、喜び、困難に立ち向かいます。

 師から見放され、灰色に見えていたフラムの世界は、ヒロインと出会い旅に出ることのよって、徐々に色づいていきます。

 また、各キャラクターにとても愛着をもって書いておられるのを感じます。私のお気に入りのキャラクターは主人公の師匠であるマルゼスです。いわゆる主人公を追放した側でがありますが、描写される彼女の人格はとても高潔で穏やかで慈愛に満ちています。主人公を破門したのにも、何やら理由がありそうで…、続きが気になります。

 さあ!
 主人公のフラムと共に、世界の果てまで旅をしましょう!


 

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