可哀想な人間

痾孤度 為輝

人間にはなりたくない

もし、私が裕福な家庭に生まれたなら

自分がしたいことをかかるお金など気にせず、飽きるまでやっていたでしょう。


もし、私が優しい両親に育てられたなら

両親からの愛を人々に返し、それでもなお余る愛を自らに与えていたでしょう。


もし、幼い頃の私が人間らしい生活を送っていたなら

独り立ちして初めて制限のある生活を送り、苦しい中でも友達とふざけ合いながら楽しい日々を過ごしたでしょう。


もし、私が裕福でなくとも恵まれた家庭に生まれていたなら

純粋な気持ちで何かを愛し、他の人が愛するものにも興味を持ち、多くの人と語り合ったでしょう。


私がいくら「もし」を思っても、それが叶うことは無い。

私がいくら「過去」を恨んでも、それが変わることは無い。

それなら「今」を、「未来」を見ればいいと、他人は言う。


他人と私では、「普通」の概念が、感覚が、男と女程に違うのだ。

それは私がいくら頑張ろうとも、他人がいくら働きかけようとも、どうにも交わることが難しい。


私は変わりたい。でも、変わらない「過去」から作られた私は、きっと、これからも、叶うことの無い「もし」を思い続けるのだろう。


私はいかにも人間だった。

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可哀想な人間 痾孤度 為輝 @akodonaruki

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