第4話(終)


「――と、まぁ、そんな感じでさ。もう一ヶ月以上、雨が降っていないんだ」

 掌におさまるほど、小さな写真に語りかける。

「世界は気まぐれだけど、私はなんだか頑固者みたいでさ。私から、キミのところへは行けないみたいなんだよね。だから、キミが寂しくなったら、私のことを迎えに来て欲しいんだ。よろしくね」

 そう、何度も伝えているけれど、キミはなかなか、迎えに来てくれない。

 私は寂しくて、キミが恋しい。けれど、キミはそんなこと、ないのだろうか。

 それとも、キミらしい優しさゆえに、キミは私を迎えに来てはくれないのだろうか。

 晴れた空から、ぽつん、と一粒、雫が落ちてきた。

 私は今日も、キミが私を泣かさぬようにと、空を抱きしめ受け止めているから広がっているのだろう、青い空を見上げている。

 そして、過去にしがみつくことをやめるために、未来へ向かって歩んでいくために、終わりの見えない心の整理を続けている。

 






〈了〉



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長い夢 湖ノ上茶屋(コノウエサヤ) @konoue_saya

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