第4話(終)
「――と、まぁ、そんな感じでさ。もう一ヶ月以上、雨が降っていないんだ」
掌におさまるほど、小さな写真に語りかける。
「世界は気まぐれだけど、私はなんだか頑固者みたいでさ。私から、キミのところへは行けないみたいなんだよね。だから、キミが寂しくなったら、私のことを迎えに来て欲しいんだ。よろしくね」
そう、何度も伝えているけれど、キミはなかなか、迎えに来てくれない。
私は寂しくて、キミが恋しい。けれど、キミはそんなこと、ないのだろうか。
それとも、キミらしい優しさゆえに、キミは私を迎えに来てはくれないのだろうか。
晴れた空から、ぽつん、と一粒、雫が落ちてきた。
私は今日も、キミが私を泣かさぬようにと、空を抱きしめ受け止めているから広がっているのだろう、青い空を見上げている。
そして、過去にしがみつくことをやめるために、未来へ向かって歩んでいくために、終わりの見えない心の整理を続けている。
〈了〉
長い夢 湖ノ上茶屋(コノウエサヤ) @konoue_saya
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます