最終話 この未来に灯を

「今日ゴミ捨て当番だから、少し待ってて!」

「そういえば明日、数学の課題提出だったよね!?」

「うわ、今日やらないとーっ!」




「ゴミ捨て代わってくれない!?」

「えーダメでしょ。数分で終わるんだから」




「お前、まだ課題終わってないのかー? 教えてやるよ」

「マジ感謝! お前いいやつだなー」

「俺はもともといいやつだっての」




 わたしのクラスは変わった。


 なんでだろう。今まで全く変わらなかったこのクラスが、あの一日で驚くほど変わった。


 勇気を出すって怖い。

 真っ暗闇の道に足を踏み出すことと同じだ。


 でも、暗闇を照らしてくれる友達が、菅野さんがいてくれるから。


 たった一つの勇気で、見違えるほどに現状がよくなることがある。

 わたしのクラスはたまたまいい方に転んだだけであって、その反対に、たった一つの勇気で、悪い未来に転ぶことがある。


 勇気を出すことで新しい出会いがある。

 また、勇気を出すことで、崩れてしまう関係もあるかもしれない。


「菅野さん」

「うん?」


 わたしは金曜日の下校時、彼に言った。

 資料を整理していた彼が手を止めてわたしを見る。



「大好きです」

「うん」


 少し赤くなっている彼の耳を見て、わたしはふふっと小さく笑う。


 わたしたちの未来はこれから。

 少しずつ、一歩ずつ、確かに前に進んでいるから、焦る必要はない。


 勇気を教えてくれたあなたへ、心からのありがとうを――

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あと一歩勇気を つきレモン @tsuki_lemon

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