第18話:『Speed, Surprise, Violence of Action.』


_____31時間後、「コープスカンパニー拠点前」ウェイド クラーク大尉。



「________3-1はそのまま狙撃体制を取れ。射撃許可が出るまで撃つなよ。Out。」



仲間へ、武器を準備するよう指示をだす。



「...2330。行動開始。」



 屋敷の敷地内へと侵入し、あたりを警戒する。


「Alpha 2は家屋-2へ移動しろ。」

「了解....」


 Alphaへ指示を出した後、俺たちも家屋-1へと足を進めていく。




__「家屋-1前」大尉。


「Alpha 2-1、こちらAlpha 1-1。聞こえるか。Over。」

『1-1、こちら2-1。通信状況は良好。Over。』

「了解。これより家屋-1へ侵入する。Out。」


 草むらから抜け、索敵を進める。20メートルほど先に2人....家屋の奥に1人か。


「敵は3人。あの2人はお前達がやれ。もう1人は俺がやる。」

「Roger。」


 

 


「おい!ちょっと手を貸してくれ!」

「ん?なんだ!」


 こいつは家屋-3にいる見張りから見えている。であれば、影におびき寄せ、静かに殺すのが最善。


「? さっきの声どっかr...」


 敵が目の前に来る。右手に、逆手で持ったナイフを肺に刺し、即座に抜いて首にも刺す。


「Good night.」


 男の力が段々と抜けていく。死体をそのまま、ゆっくりと地面に置き、他の見張りに気付かれない場所に死体を隠す。


「1-3、こちら1-1。見張りを排除。家屋-1に侵入するぞ。Over。」

『こちら1-3。了解。Out。』





___「家屋-1、中庭」ウェイド大尉。



「気をつけろよ、中の状況は分かっていない。」

「了解。」


 ドアノブに手をかけ、施錠を確認する。鍵はかかっていない。静かに入れそうだ。

 ゆっくりとドアを開け、中を確認する。


「....敵はいない。入るぞ。」


 一歩、また一歩と足を進める。その度に、廊下の古びた木の床が軋む音を立て、それに比例するように心臓の鼓動が速くなる。現代の地球であれば、大抵の建物はコンクリートか、それに似たような硬い地面で出来ている。そのため一歩踏み出しても、足音が鳴る心配は特にない。


 しかし今回は例外だ。気を抜いて大きく踏み出してしまえば、廊下の軋む音が敵の耳に届き、警戒される可能性もある。できるだけ足音を小さく、小さく。まるで落ち葉が落ちる時のように、優しく、静かに....


 しばらく廊下を歩き、角を曲がると敵が2人見えてくる。ボディアーマーと、腰に長剣。灯りは、机に置かれてあるランプ一個。こちらには気付いていないようだ。


「止まれ。敵2人...レオはここの角に、イーサンは向こうの影に隠れろ。俺が奴らを誘き寄せる。」


 2人は頷き、影に隠れる。



「すまない!今日初めてここにきたトーマスだ!」


敵兵2人が俺の顔を確認しようと寄ってくる


「誰だ?今日新しいやつが来るなんて言ってたか?」

「さあ?まあ新入りなら、俺らの仕事押し付けられるしいいんじゃねえの?」

「それもそうだな!よろしくなトーマス。俺の名前は」


 男は首に何か、温かい液体が流れているのを感じる。手を首に持っていき、


 それが赤黒く、どろっとした、自分の血であることを視認した。


「て、テメエ.....ゴフッ...」ドタッ


 深く息を吸い込み、吐く。幾度と戦場に出ているとはいえ、なれぬ環境での戦闘は、やはり緊張する。


「....よくやった2人。クリアリングを続けるぞ。」

「了解。」



第18話:『Speed, Surprise, Violence of Action.』終。

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