まだ幼い主人公のカヒ(2)が夜の冒険をする不思議な夢見の物語。
カヒは夢の中でムジャナ(9)という別の少女の姿に変わっていました。
ムジャナは自分より身体の大きいお姉さんで、カヒの住む町より暑い村で生きていたのです。その村では夜に畑からウリを盗んでいく盗人が現れ、大切な食料を奪われている惨状に見舞われていました。
「夜は決して家から出ないように」
母からの忠告に耳を貸すも、あまりに明るい満月の夜はムジャナの好奇心を高鳴らせます。
花の香りとミミズクの鳴き声――ひとり、誘われるがまま夜の世界へと……
夜の世界に心躍る好奇の目。それは彼女の心の底を満たしていく楽しいひとときでした。
しかし、その時間はやがて暗転していき、遂には……
なつかしい夢でみたムジャナの村が、遠い国にあるという事実。
彼女の出生秘密のルーツと血のつながりが意味するものとは。
夢と現実との輪郭が曖昧になり、やがては結ばれていく。ファンタジックな童話テイストで紡がれる謎めいた結末が魅せる素敵な物語です。