第4話 準決勝

さあ、準決勝の相手はやはりサリオンだった。


「さあ、準決勝は魔王様の息子・サリオン VS 中ボスの息子・ガビ!

 若きエース同士の戦いの行方はいかに!

 レディー・ファイト!!!」


審判の号令で試合が始まった。


「ふっ。例年通り、お前をギタギタにしてやるぜ!」


サリオンは余裕をかましている。


はあ。これだから勘違いお坊ちゃんは・・・。


俺はやれやれとため息をつく。


「ため息なんかついて、これから負ける自分を憐れんでいるのか?」


まったく、脳内お花畑とはこのこと。


しかし、俺もこいつを認めていないわけではない。


一応、こいつもこうして準決勝まで来ているのだ。


伊達に魔王の息子ではない。


俺が強すぎるだけなのだ。


こいつの実力に敬意を表し、ファイア以外の魔法も一つ使うことにしよう。


最低位の風魔法・ウィンドをお見舞いしてやる。


「さて、サリオン。

 俺はな、実はファイア以外にも魔法、使えるんだぜ?」


「ほほう、なんだ?

 言ってみるがいい!」


「風魔法ウィンドだ!」


「はっはっはっは!!!

 何を言い出すかと思えば、ガキでも使える魔法じゃねえか!

 このサリオン様を舐めるんじゃねえぞ!」


そう、これが普通の反応だ。


風魔法は『ウィンド』、『ハリケーン』、『テンペスト』からなる。


俺のウィンドはただのウィンドではない。


常人のハリケーンとテンペストの中間くらいの威力だ。


俺のウィンドではずかしめを与えてやる。


なにせ、俺はこいつに13年もの間、わざと負け続け、滑稽な目に遭ってきたのだ。


その恨み、ここで晴らさせてもらう。


「ウィンド!!!」


俺は風魔法を唱えた。


すると、サリオンもそれに対抗するかのようにウィンドを唱えた。


「お前の風魔法など打消してくれる!

 ウィンド!!!」


2人が同時にウィンドを唱えた。


しかし、明らかに俺のウィンドのほうがデカい。


一瞬にしてサリオンのウィンドは俺のウィンドに飲み込まれた。


サリオンはあっけにとられるのもつかの間、俺のウィンドによって宙に飛ばされた。


そして、俺はウィンドを自在に操り、サリオンをさかさま状態にした。


そして、風を操ってサリオンの着ている貴族服をすべて脱がせ、全裸にした!


サリオンは慌てて陰部を隠すも、観衆にはすでに丸見え。


爆笑の嵐だ。


「わっはっはっは!!!

 魔王様の息子だ、笑っちゃいかんが、こりゃこらえられねえ!」


サリオンは普段から自身の実力にあぐらをかき、ふんぞり返っている。


それを良く思わないものも少なからずいる。


ざまあみろと笑う者も中にいるだろう。


「き、きさまーーー!!!

 下ろせーーー!!!

 こんな卑怯な技を使うなど、言語道断!!!」


サリオンは全裸で宙に浮きながら何やら文句を垂れている。


「ふっ。ウィンドごときに手も足も出ないか、サリオン。

 あ、手も足も出ないが、ちんこは出ているな・・・。」


「や、やかましい!!!」


「さあ、どうする?

 このまま降参しなければ、ずっと裸体を観衆にさらすことになるぞ?」


「くそう!ウィンド!ウィンド!ウィンドーーーー!!!」


サリオンはやけくそでウィンドを唱えるも、俺のウィンドは打ち消せない。


「ふふっ。やるしかないな・・・。」


サリオンは不敵な笑みを浮かべる。


「俺はな、水魔法第2段階アクアを使えるんだ!

 アクアによってお前のウィンドなど打ち消してくれる!」


水魔法は、『ウォータ』、『アクア』、『リヴァイアサン』からなる。


無論、俺はリヴァイアサンを使えるわけだが、サリオンの使える最強魔法はアクアに留まるのである。


「やってみるがいいさ!」


俺はこいつの挑戦に受けて立った。


俺のウィンドとこいつのアクア、どちらが強いか、勝負だ!


「はーーーー!!!

 アクア!!!」


サリオンがアクアを唱えると、大量の水が溢れだした。


しかし、虚しくも俺のウィンドに飲み込まれる。


そして、俺のウィンドによって、サリオン自身が出した水がサリオンの身体に勢いよく打ち付ける。


「うぎゃああああ!いってえよおーーーー!」


なんと滑稽か・・・。


俺はウィンドを解いてやった。


すると、バタンっとサリオンが地面に落下した。


落下の衝撃も相まって、サリオンは気絶してしまった。


「おーーーーっと、サリオン選手!

 気絶してしまったーーー!!!

 よって勝者はなんと、ガビーーーー!!!」


自分より弱いと信じてやまなかった俺にボコボコにはずかしめられ、こいつが不憫に思えてきた。


まあ、エラそうにふんぞり返っていた罰だ。


悪く思うな、サリオン。


こうして、俺は勝利を勝ち取った。


サリオンは魔王の息子だ。


つまり、次期魔王候補でもある。


そんなやつに俺は勝ってしまった。


魔王の世襲制を望む者たちにとって、俺は目の上のたんこぶとなるだろう。


だがしかし、それも一瞬の話さ。


なぜって、この後の決勝戦で俺が魔王を倒し、俺が魔王になるからだ。


さて、明日の決勝は少し骨が折れそうだが、どうなることやら・・・。



<作者あとがき>


次回、魔王、ボコボコ!? & ラストにヒロイン登場!


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転生したらラストダンジョン中ボスの息子で、魔王より強くなって世界征服しちゃいます ムゲン @mugenroudou

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