第11話

そう言った途端、シンと静まり返る部屋に息が詰まりそうになる。


何故か怖くて顔を上げられない。


何も言ってこない2人に、戸惑っていると。


「ふふ、はははっ」


「っ!?」


ふと佐久間さんが笑い声を上げたことに、ギョッとする。

な、何で笑って……。


も、もしかしてからかわれた……?


弟さんも目を見開いてぽかんとしている。



「紗奈ちゃん、勘違いしてる?」


「え……?」



佐久間さんが未だに笑ったまま、首を傾げる。

勘違い……?


やっぱり冗談だったんだ……。

そうだよね。

初対面なのにキスはされてしまったけど。


私を好き、なんて言うのはからかっただけなんだーー。



「紗奈の気持ちなんて関係ない。紗奈はもうずっと僕達のものになるんだよ」


「そうそう。紗奈ちゃんはもう俺たちのものなんだよ! だから、紗奈ちゃんの気持ちは関係ないの。だって逃がさないから」



「ーーえ?」



2人の言葉に、一瞬何を言われたのか分からなかったけど内容を理解して固まる。


(私が佐久間さんたちのもの……?)



「紗奈の意思は関係ないんだ。例え、紗奈が嫌がろうと無駄だよ」


「そうそう。苦しいの嫌でしょ? だから、大人しく俺たちのものになってね紗奈ちゃん」



暗い瞳で見つめてくる2人に、言葉が出ない。


この人たちは……おかしい。


異常だ。


ーーやっぱり逃げないと!!!

そして警察に……!!


寝せられているベッドから立ち上がり、逃げようとしたけど2人に腕を掴まれてベッドへと戻されてしまった。


「やっ、離してっ!!」


「ーー暴れるな。」


「っ!? ぐっ、う……うう〜!」



必死に暴れると、弟さんに首を絞められた。

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