逃げられない罠

第10話

目が覚めたら自分の家で。

あれは夢。そうだったら、良かったのに。

現実はそうもいかない。


場所はリビングから変わっていたが、目が覚めたら私を見下ろす2人の姿があった。



「あ。起きた」


「紗奈ちゃん、大丈夫?」


「…………」


大丈夫と聞かれるが、全く大丈夫なんかじゃない。


「まさかキスで気絶するなんて思っても無かったからごめんね。」


「っ!!」



カッと顔に熱が孕み、赤くなったのが自分でも分かる。

私もまさかキスで気を失うだなんて思ってもいなかった。


経験は少ないといえ、彼氏がいたことはある。

キスだってそれなりにしてきたけど、あんなにも深いキスをされたのは初めてだった。


息継ぎの仕方が分からなくなってしまうなんて……。


それに、こんな奇想天外なことを経験するなんて想像つかなかった。


だって、いきなり初対面の人達に部屋に連れてこられ、キスをされるなんて。



「っ、な、何で私に……」


「? さっきも言ったけど、僕は紗奈が好きだから」


「勿論、俺も紗奈ちゃんが好き。紗奈ちゃんと付き合いたいんだ」


「え、えぇ!?」


2人に見つめられながら、言われた言葉に驚く。


ここに連れてこられて、弟さんから言われたけど信じてなかった。

けど、2人とも目が真剣で戸惑ってしまう。


ーーなんなんだろう、この状況は。


2人にいきなり告白されるなんて、それも兄弟に。


だけど、私には無理だ。






「わ、私は……その考えられないです……」

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