第6話 最後の雨

 二人が出会ったあの日のように今日も雨が降っている。


 傘をさして歩く二人の姿……

彼女と彼が向き合うと、彼女が彼に言った。


 「私、来年彼と結婚する……

だから、もう会えない」


 「わかってる……俺たちは、 雨の日に出会い、

雨の降る短い間だけの関係だった。

 もうじき、雨が上がる……だから、俺たち二人の

関係も終わるんだね……」と悠が言った。


 悠を見つめる七星……


 空を見上げる悠……


 「時期に雨があがる。

これがきっと最後の雨だよ……」

 優しい眼差しの彼が彼女に言った。


 降り続いた雨粒は、雨の雫に変わり……

そして、雨はあがった。


 それはまるで二人の時間に終わりを告げる

合図のよう……

雲の隙間から差し込む微かな陽の光……

この日……気象庁は『梅雨明け』を発表した……。


               ~最後の雨 完~










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最後の雨 由南りさ @yaku7227

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