第5話 雨の中の告白

 雨が降ってきた。 

 雨粒が容赦なく地面を叩きつける。

 雨音がふたりの声を暗闇に運んでいくのがわかる。


 「気づいてるだろ? 俺の気持ち」

 笑ってごまかそうとする七星を悠は彼女から

視線を外さず彼女の瞳を見つめる。


 「じゃあ、何であの時、俺の髪を

かきあげたの?」

 悠は、七星の答えを待つ。


 雨に濡れる悠の肩……

傘を差し出す七星に悠は傘を取り上げると彼女を抱きしめた。

 悠が取り上げた傘が地面に落ちる……。

 傘に落ちる雨粒が雨音となって彼らの耳に

響いてくる。


 「もう、遅いよ。どうすることもできない。」

 七星は悠から視線をそらす。


 それが……彼女の『答え』

これっぽっちの期待も、彼女が悠に与えてはくれないことを悠は理解した。


 雨が降る……

雨粒が地面を叩きつける。


 七星が悠に近づくと彼の雨に濡れた髪を優しく

そっとかきあげる。

 地面に落ちた傘を拾うと彼女は彼の元から

歩き去った。


 雨は容赦なく降り続く……。

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