文芸部

文芸部でのおしゃべり

「毎日一作ショートホラーをあげるぞ！って言っておきながら、もう23：00だぞ。二日目にして挫折？」

　いえ、そこはなんとか、なんとかします。

「まず、X140文字みたいなのでもいいから、何か考えないと」

　そ、そうですね。あの、情けないお願いで申し訳ないのですが、参考までに、みなさんの思う怖いものを教えてもらえませんか？

「そうだな。俺は目玉にコンパスの針が刺さったら怖いな、っていつも思ってる」

　それは怖いですね……。コンパス懐かしい。子どもの悪ふざけでやってしまいそうですもんね。

「あの絶妙な太さがたまらなく怖い」

　結構奥まで入りそうですしね。ありがとうございました。じゃあ次の方……。

「私は、本やお金を無性に踏みつけたくなるのが怖いの」

　へえ……どうしてですか？

「なんか、踏んだらいけないものベスト3に入ってそうじゃない？」

　そこまで来たら三つ目も知りたいですね。

「……写真……かな」

　ああ、たしかに。

「踏んだら、悪いことが起こりそうじゃない？」

　あとあと呪われて、お金が無くなる、人がいなくなる、頭がおかしくなる、とか嫌ですね。

「踏みつけてる映像が頭に流れて、ハラハラするの。やっちゃうんじゃないかって！」

　な、なるほど、大変ですね。対策はまた後で考えましょう。次は……。

「僕は、交差点やホームで待っている人の背中を押してしまいそうで怖いよ」

　え！　いわゆる、ムシャクシャシテイタ、誰デモヨカッタ、ってやつですか？

「いや、そういう映像が見えるんだよ。自分の目の前に自分が現れて、人を押すの」

　それ、さっきの踏みつけと同じですよね。そういう映像が出る。

「そうなんだよ……。今立ち止まってる僕が本物なのか、人を押している自分が本物なのかわからなくなる」

「あ、俺も目玉に刺さってる映像がこびりついて離れないよ。今も痛くないだけで、刺さってるんじゃないかって思ってる」

「私も、人の大切なものを奪いとって踏みつけたら、相手がどんな顔をするかを想像してずっと身震いしてるの」

　……さん…………チオリさん。

　あ、はい。

　最近、妄想どうですか？

　変わらないですね、常に何人かの声がするんです。

　ホラー書くの、おやすみしたらどうですか？

　そうなんですけど……ホラーに昇華するから妄想を許せるのであって、ホラーに生かされない妄想なんてただの妄想損じゃないですか。

　相変わらず正気なのかおかしいのかわかりませんね。まずお大事に。

(完)