第13話川畑の恋

講義を全て終わらせた、飲みサーのパイの連中はバス乗り場で話し込んでいた。

それは、女子には深刻で、男子には滑稽だった。


昼休みに時間は戻る。

学食で200円のカレーライスを食べていた、坪井と大崎のテーブルの前に、川畑久美子が座った。

川畑は、トンカツを食べていた。

3人とも食べ終わると、川畑は、

「坪井!話がある」

「何だよ!」

「……」

「さっさと言えよ!」


川畑は意を決して、坪井に言った。

「私、坪井君の事が好きなの」

大崎が大爆笑して、

「好き〜?アハハ。何かの罰ゲーム?」

と大崎ははしゃぐ。

「私は、本気よ!」


坪井は固まってしまった。

「坪井君、顔、顔。真顔になってるよ!」


「ごめん、川畑、オレには彼女がいるんだ。その子と結婚をするのが決まっているんだ」


「そうだよね。坪井は今はイケメンで優しくて、面白いからね。この前の寿司で坪井の事が好きだって気付いたの」

「あぁ〜あの時、5500円のカワハギを1人で食いやがって!じゃ、最後に1回だけデートしよう。デートだけだぞ!カフェとかは嫌だから、昼飲みできる店でな」

川畑は目が輝いた。


「あ、ありがとう。坪井」

「ブス。奢るのはこれが最後だからな」

「うん」

すると、大崎が、

「僕も参加する。僕の彼女を連れてくる」


「いいよな?川畑」

「良いよ、坪井」


そして、今集まったのだ。

女子は泣いている川畑を介抱してやった。

「でも、久美子ちゃん良かったじゃ無い。デート出来て」

「私、てっきり坪井君の事が嫌いと思ってた」


男子は、

「よくあんな、ガマガエルみたいな女の子の相手出来るよな?」

「まぁ、武士の情けだ」

「大崎君、ちゃんと見張っているんだよ!」

「あぁ、楽しい日曜日になりそうだよ」 

「日曜日?土曜日じゃないの?」

「植林、法学部だけ土曜日に必修科目があるんだよ!経済学部は良いよなぁ」


日曜日

「初めまして、大崎君と付き合ってる中川ミクです」

「や、やぁ。初めまして」

「坪井さんの彼女、かわいいですね」

「何だと?このクソアマ?誰が……う、うん。ちょっとゴメンね。オレ今、生理中なんだ」

「私も、生理中」

と、川畑が言った瞬間に、坪井の裏拳を食らった。

「このクソ坪井!殴るこたぁねえだろ?」

「お前は、身体で勉強するんだな」

「坪井君、どこのお店にする?」

「24時間開店している店ならあるよ!」

「そこ、行こっか?」

「うん。とび屋って言う焼き肉屋なんだ」


4人は「とび屋」に向かった。

皆んな、生ビールで乾杯した。中川が肉を焼けた網に乗せていく。

川畑も肉をトングでひっくり返したりしていた。

焼き肉屋の最終盤は、4人ともほろ酔い以上で、川畑が突然泣きだす。


「どうした?川畑」

と、坪井が川畑の背中を擦りながら尋ねた。

「わ、私、今日で大学辞めるの」

「何でさ?」

と、大崎が斬り込む。

「お父さんが倒れてね、治療代が高くて、私は大学辞めて働かなくてはいけないの」

「そっかぁ〜、残念だが、友達は友達だから、たまには遊びに連れて行くよ!もちろん、オレの奢りで」

川畑はハンカチで涙を拭いて、

「坪井!もう一軒だ!」

「よしよし、良いぞ川畑。中川さんは大丈夫?」

「はい。坪井さんって優しいんですね。彼から話し聴いています」

「え?恥ずかしいな君は」

大崎はにこやかに、

「でもホントの事じゃん」

4人は、夫婦寿司へ向かった。

川畑はまた、カワハギを注文した。

きっと、これが最後の川畑との飲み会であろうと感じていた。川畑は広島県出身だ。

埼玉に来るには、結構お金がかかる。


散々飲み食いして、坪井が3万円、大崎が2万円支払いお釣りは坪井がもらった。


「皆んな、今日はありがとう。坪井、頑張って教諭か刑事になるんだよ!」


「分かった、お前も元気で働いて、また、いつか飲もうな!」


そうすると、川畑はタクシーで帰って行った。

残された3人は、駅まで歩いていた。

「ホントに急だったね」

「そうだね?大崎先生この後は?」

「バーだな」

しかし、大崎の彼女の中川は疲れたのか先に帰った。

中川は坪井に、ありがとうございました。と言って改札口へ向かった。


オールドクロックで、2人はウイスキーを飲んでいた。

この2人は、酒にだいぶ慣れてきた。ビールでは酔わないし、焼酎、日本酒、ウイスキーも手を出すようになった。

カクテルやチューハイは甘くて嫌になっているお年頃。


「川畑、ブスだったけど、性格は良かったな」

「うん、僕も今日、初めてそう思えた。でも、好きっ言われた時の坪井先生の顔が面白くて面白くて」

「女の子を選ぶ権利があるし、既に彼女がいるし」


「でも、元カノさんが生きてるいる頃に、二股掛けていたよね?」

「あれは、失敗だった。もう二度としないって決めたんだ」

坪井の腕時計は23時38分を表示していた。

2人は急いで勘定を済まし、ギリギリ終電に間に合った。

帰宅した坪井はぐっすり寝た。

明日は祝日なので、休みだ。

昼まで坪井は寝ていた。


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馬鹿な大学の奴ら 羽弦トリス @September-0919

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