†白雪姫†

第28話


これは、遠い遠い昔のお話・・・

美しさが招いた・・・

残酷で悲しき親子のお話・・・


『鏡よ。鏡?』 『世界一美しいのは、誰?』


毎日毎日、繰り返す言葉・・・

そして彼女は、美しい子を産み

更に自分の美しさに酔いしれた・・・


毎日、毎日繰り返されるのは『鏡よ。鏡?』


そして、すくすく育った娘は

彼女の様に美しく、白い肌に愛らしい目・・・

皆が美しいと、彼女を褒めだした・・・


そう。自分よりも娘が美しい。と・・・


不安になり繰り返す・・・

『鏡よ。鏡?』『世界一美しいのは誰?』

鏡が答えた・・・


『それは貴方の娘。白雪姫様です。』と・・・


それを聞き、彼女は自分の美しさ。

その全てを、受け継いだ。

そう。娘を恨み。いつの日かそれは・・・


母親であるよりも、独りの魔女と化させた・・・


『世界一美しいのは私。』

『白雪姫が私より美しい訳がない。』

『貴方に命令よ。白雪姫を森へ連れて置き去りにしなさい!』と・・・


狩人に怒鳴りつけ、白雪姫は森へ置き去りにされた・・・


そうして、魔女と化した母は

安堵の笑みでまた鏡に尋ねる・・・

『鏡よ。鏡。』『世界一美しいのは?』


鏡は答える。『それは白雪姫様です。』と・・・


魔女は困惑し、狂い出した。

そして呟く。

『あの子を生かせてはいけない。』と・・・


母親ではなく、白雪姫に殺意を抱き魔女へと・・・


森で彷徨い、小人達に拾われ

生活していた、白雪姫。

それを知り、魔女は美しい殺意の微笑みをする・・・


『世界一美しいのは、私。』と・・・


そして、魔女は姿を変えて

小人達の出た時に、白雪姫に問いかける・・・

『可愛い子だね?』『このドレスをお前にあげよう。』と・・・


綺麗なドレスに、愛らしい笑みが

零れた白雪姫。『背中を向けてくれ。』

『このドレスをお前に着せてあげよう。』と・・・


そして、白雪姫は魔女に背中を向けた・・


そして、魔女は隠していたナイフで

白雪姫の首を、はねた・・・

白雪姫の白い肌が、紅く染まり行く・・・


何も知らずに、帰った小人は・・・


変わり果てた白雪姫の姿に泣き

お墓を立てて、1輪の薔薇を置いた・・・

帰った魔女はまた聞く・・・


『鏡よ。鏡。』『世界一美しいのは?』


鏡は答える。『貴女様です。』と・・・

そして今までに無い喜びに泣いた・・・

そして白雪姫を失い、時間だけが過ぎた・・・


あの時よりも、醜くい老婆になった魔女・・・


『あの子が居ない。』

『あの子が居ない。』

『そう。私がこの手で首を、はねたんだ。』・・・


と、自分の掛け替えのない娘を失った・・・


絶望と、自分のその産まれし日

抱いた手で、首を、はねた。と・・・

泣いても白雪姫は戻らない・・・


そして、魔女に手紙が来た・・・


『美しき貴方に逢いたい。』と・・・

魔女は仕方なく、会いに行く・・・

そして、1輪の薔薇を渡される・・・


そしてその棘が、指に刺さる・・・


そして、魔女は意識を失った・・・

そう。その薔薇には実は、棘に毒が塗られていた・・・

指先が、白雪姫の様に紅く染まる・・・


『これで、良かったの。』

そう言い。魔女も永遠の眠りについた・・・

『これで、お前に会えるね?』


『白雪姫。お前も美しいからね。』と・・・


魔女の最期の顔は、微笑んで・・・

安堵感を見せて、決して苦しみも無い・・・

そう。自分の美しさに酔いしれ・・・


罪までもを犯した魔女・・・



美しさは、ただ美しい。だけではない。時に狂気と化す事を魔女は知らなかったのだろう・・・

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†闇の音† 桜桃 真琴/サクラモモ マコト @sakura_momo_makoto

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