第22話
もし、脈ありなら、夏祭り当日に花火をバックに灯莉に告白する、と天翔は得意げに話していた。
俺が天翔が好意を寄せていることを伝えた時、灯莉は険しい顔をしていたうえに、嬉しくない』と答えたから、今日の放課後に、残念ながら脈なしだと思う、と伝えるつもりだ。
また、俺は夏祭り当日に灯莉に告白することを固く決意した。のんびりしていたら天翔に奪われちまうから、好きという大切な気持ちを伝えると決めたのだ。
好きだ。四歳の頃に出会って一目惚れした瞬間から今までずっと。俺は灯莉が幼馴染だから好きになったんじゃなくて、灯莉が灯莉だから好きになったんだ。死ぬまで一緒にいて欲しいっていうのが本音だけど、キモいから、お前が俺を嫌いになって離れたくなるその日まで、一緒にいて欲しい。
もしそんな風に告白したら、灯莉はどんな顔をするだろう。いや、今はそれよりも今の灯莉がどんな顔をしているのかの方が気になった。俺より一回りも二回りも小さな手の感触を確かめてから後方をゆっくりと振り返る。
振り返った先には──赤面している幼馴染が居てはっと息を呑んで立ち止まった。なるほど、大馬鹿者は二人だったわけだ。嬉しすぎて、元々頭がおかしい俺はさらにおかしくなって爆笑した。強く噛み締めていて何か言いたげな唇が俺の瞳に映る。
母親からの愛情に飢えている私たちは依存し合わないと生きてこれなかったと思うよ。
俺にはこう言っているようにしか見えなかった。そうだな、と胸の内でためらいなく肯定する。だけど、これから先どうするかはお互いが納得するまでとことん話し合って決めようか。
消えちゃ駄目、幼馴染曰く共依存するのも駄目らしい。 虎島沙風(とらじまさふう) @hikari153
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