第21話

 嫉妬するほど細くて綺麗なのに、こうして握ると大きくてごつごつしていて分厚くて、やっぱり異性なんだと再認識する。そんな頼もしい手に引っ張られながら走る。

 ああ、もう一生体育館に到着しなければいいのに。

 私の思い出アルバムに入っているのは優とのツーショット写真が多い。これから、もっともっと増やしていこうと決めた。まずは、好きという大切な気持ちを優に無事に伝えることができたら、記念に写真を撮ろう。多分、その写真に写っている私は泣き笑いの表情を浮かべながらダブルピースをしているはずだ。優は──。

 後ろ姿に目を向けると、珍しく毛先に寝癖がついていることと、耳が赤く染まっていることにはっと気づく。まさかとは思うけど、前を向いているからこちらからは見えない顔は、真っ赤に染まっているんだろうか。

 そういえば、握っている手が凄く熱い。冷え性の私の手は夏でも冷たいから熱いのは優の手だと分かる。優の手が熱いのってもしかして……。

 もし、初恋&十二年の片想いが無事に成就したら。私が携帯のカメラを向けた時に、いつもクールな優が照れくさそうに笑ってくれたら嬉しい。

 ねぇ優。私たちは──。

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