もやしの青椒肉絲

琉生⊿

もやしの青椒肉絲

「二人共、たまには料理の練習をするなどしな」

「えぇ〜めんどい」

「母ちゃんの作るご飯が好きだよ☆」


「適当に誤魔化すんじゃないよ」


「いいか、料理は出来ないより出来たほうがいい。あと料理が出来たほうがモテる」

「母さんそれ親戚の集まりで叔母さんたちにモテるとかそういうやつでしょ」


「察しの良い息子に育ったもんだ」

「キィ〜〜〜〜〜〜やっぱりそうか!」

「兄ちゃん、諦めたほうが良いよ」

「うるせぇ〜〜〜〜〜〜」



マァマァ。本当に料理ってものは出来ないより出来たほうがいい。最近はレトルトとか、なんかレンチンで何でも作れる時代だけど、経験値として出来るに越したことはない。


「今日作るのは簡単なやつだから」

「何作るの」

「青椒肉絲」


「中華ってなんか色々入れたりするんじゃないの」


「そこで、はいドン!『天才のタレ』を使う」

「「てんさいのたれ」」


ドン とC◯ok Doの箱を出す。


「C◯ok Doは料理。これはレトルトでも手抜きでもない。プロが試行錯誤の上導き出した天才のタレ。あと安い。感謝」


「え〜でも青椒肉絲って全部細く切らなきゃじゃん。俺達にはレベル高いよ」


「今日はタケノコの代わりにもやしを使う。これなら切らなくてヨシ!はいはい手を洗いな」


あれやこれやとケチをつけられる前に作り始めようね!


「基本的にこういう商品は箱の裏に作り方が書いてあるからだいたいそれ通りに作ればヨシ!」

「もやし使うって言ったよね?初手でアレンジしちゃってるよ」

「やかましいよ」


――――――――――――


作り方(だいたい)


①具材を全部細く切って片栗粉をまぶす

②野菜類を炒める

③肉を炒め、天才のタレを入れる

④炒めた肉に野菜を入れ、和える

⑤完成


――――――――――――


「肉を切るのは避けられないか……」

「肉はよろしく頼んだ。俺はピーマンをなんとかする」


トン………トン……………………ト……………ン……

ギッーギッーギッーギッー


二人共包丁の使い方が滅茶苦茶おぼつかないな……これは定期的に何か作らせたほうが良いね……野菜はまだいいとして肉、それ、切ってるというより引きちぎってる……


「肉はバラバラになったよ」

「言い方」


「まぁ肉はハサミで切る人も結構多いと思うよ」

「母ちゃんそれもっと早く言ってくんないかな」


「うちに肉用のハサミ無いもん」

「ッッッッッ〜〜〜〜〜!!!!!」


次は片栗粉をまぶして、その次は野菜から炒めるよ。


パッパッパッ。パタパタ。


ッ………ジャアァアアア………ジャッジャッ。


「いいね。その感じで肉もやろう」


ジャアアアアア……パチパチパチ………。


「そろそろタレ入れようタレ」



ジャアアアアア!!!!!

バチバチバチバチバチバチ!!!!!



「うわぁああああああ!!!!ハネ!!!ハネが!!!油ハネが!!!!」

「あ、タレ入れるとハネるよ」

「先に言ってよ!!!!!」


「マァマァマァマァ。そろそろいいんじゃないかな。お皿に盛るよ」


 ◇


ホカホカ。ホカホカ。



なんだかんだ言いつつもちゃんと出来たね。良かった良かった。


「いただきまーす!」


「もやしも結構イケるな。シャキシャキしててうまい」

「うまいうまい」




「……兄ちゃん、青椒肉絲を、こう、米の上に、こう……」

「ん?もぐもぐ……」

「うわ!もうやってるし!!!」

「さ〜て、おかわりおかわり」


中学生ともなるとたくさん食べるね。見ててこっちも食べたくなるよ。私もご飯おかわりしようかな。


ガパ


「……ン?」


4合炊いたはずの米がもう無い。


……息子はまだ中学生だけど、高校生って、もっと食べるようになるんだっけ……



我が子の成長は嬉しいけど、今後の食費が心配だぁ……

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もやしの青椒肉絲 琉生⊿ @rui7625s

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