第20話
わたしと彼女の関係値は、〝親友〟と気安く呼べるほどに高くない。
だからこそわたしは〝面倒だ〟と感じるのだろうし、ここからの関係の改善する力なんて、わたしは持ち合わせていない。
「ちょっとだけ、ひとりになってみようかな」
悩んでいた割に、簡単な気持ちで導き出した答えが正解なのかはわからないけれど、そのときはそのときだ。
このまま〝面倒くさい〟と悩むのは、そちらのほうが面倒くさい。
もし間違いだったなら、そのときにまた考えよう。そんな軽い気持ちでいいのだろう、きっと。
それを粟田くんに話すと、彼は口の端をゆっくりと持ち上げて、笑った。
「いいじゃん」
その言葉に、えへへ、と笑みを浮かべる。
なにか詰まったかのように呼吸がしにくかった薄汚れた空気が、いっきにクリアになった気がする。息がしやすい。
視界に映る教室は、さっきよりもずっと明るくて輝いて感じる。
それは多分、分厚い曇の間から顔を出した太陽の光だろうけれど。
この、どんなことでも面倒くさいと感じてしまう世界で、いつかわたしは〝面倒と思わない友情〟を見つけられるのかな。
なんて、それはさすがにメルヘンすぎるだろうか。
別名、愚痴ノート 右遠あい @utoo_ai
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