第19話

「ねえ、粟田くんは、ひとりになることが正解だと思う?」



 この問いを乗り越えた彼にだからこそ、訊くことができると思った。

 彼は、ひとりになるという選択をした。

 それははたして、正解なのかな。



「知らねえ」



 そう粟田くんはあっさりと告げる。

 そして、なにか答えを期待していたわたしは「え」と掠れた声をこぼれ落とした。


 ふと、目の前の授業風景がしっかりと見えた。

 ペアワークの相手と大きな笑い声をあげていたり、その反対に合わないひとが相手で気まずそうにしていたり。


 そんな無数に存在している〝ふたり〟の関係の糸は、きっと何度もほつれを繰り返す。


 わたしは多分、そのほつれの真っ最中だ。

 それを修繕する選択をとるか、自分から断ち切るか。



「嫌なんだよね、気を遣うの」

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