Y教授が教えてくれたもの

沈黙は金?

第1話

 僕は、某大学の経済学部の経済学科に所属していたことがありました。なぜ、このように書いたのかと言えば、卒業していないからです。とある理由で……。

 このことは、今回書こうと思っている内容と異なってしまうので触れません。

 

 大学に入学し、欧米経済論の講義を担当していたY教授に僕は好感を持ちました。凄く真摯に講義をなされ、時間いっぱい欧米のどちらかというとアメリカの経済論を無駄なことは一言も言わず一心不乱に講義をなさる姿に僕は深い共感を覚えたのでありました。

 ある日、Y教授の研究室に僕は行ってみました。そして、話をしました。経済学もろくに知らないくせに。話の最後に先生(Y教授のこと)に、どのような本を読んだらいいのか訊いてみました。先生は、日高晋先生の経済原論(有斐閣)と宇野弘蔵先生の経済原論上下(岩波書店)を薦めてきました。日高原論の方を先に読みなさいと言うので図書館で借りて読みました。意外と簡単に読めたのが良かったのか悪かったのか、それから宇野弘蔵の流れのマルクス経済学に嵌ることになりました。

 ミクロ経済学とマクロ経済学などの近代経済学は適当にやって、マルクス経済学に傾倒した勉強をするようになりました。

 ということは、マルクスの『資本論』が下地にあるわけで、題名通り資本主義経済の仕組みについて書かれた書物を読むことになったのでした。


 本を読んでいて、分からないことがあると先生の研究室に行って、質問をして分かるまで研究室に入り浸って、かなり迷惑をかけていました。金魚の糞みたいに先生にへばりついていて、終いには嫌がられたことを思い出します。


 先生は、資本論について徹底した理解がなされている人なので、僕に厳しい注文を突き付けてきましたが、当時分からなかったことが今分かってきたこともあるので、先生には感謝しつつもこの大学生だった時期は貴重な時間となって僕の存在に大きな光を与えていると思われます。

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Y教授が教えてくれたもの 沈黙は金? @hyay

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