第33話
家族連れで賑わう公園。
芝生にレジャーシートを敷いて、食べ終わったお弁当を片付ける。
元気に走り回る娘、唯花。唯花の後をおぼつかない足取りでよちよちと追いかける、妹の
二人目が女の子だと分かった時の拓人の嬉しそうな顔が、昨日の事のように思い浮かぶ。
片付け終わるのを見計らって、拓人の頭が私の膝に乗る。
「あー……なんかめっちゃ幸せじゃね? 家族って感じ」
「ふふ、何それ」
目を閉じながら、しみじみとそう言った拓人の目がゆっくり開き、私を見つめる。
「栞……愛してる」
「何、急に」
「愛してる」
真剣な顔から、柔らかい笑顔になる。
「私も、愛してるよ」
拓人の髪を撫で、自然と頬が綻ぶ。
唇が触れ合う。
「あー、ママとパパがちゅーしたー」
「ちたー」
唯花の言葉を真似るように、一花が言う。
「パパとママはラブラブだからな」
体を起こした拓人が、私を抱き寄せる。
「ずるーい。唯もラブラブするー」
「いーもー」
「よーし、みんなまとめてパパがラブラブしてやるーっ!」
「きゃーっ!」
「きゃーっ!」
拓人が大きな腕で私達全員を抱きしめる。
幸せ。
拓人が言った言葉。
ほんとに幸せ。
拓人が私を見つけて、快楽も、恋も、愛も、全てを私に刻みつけた。
目の前の愛しい人達を見つめ、幸せを噛み締める。
小さな宝物達と、愛しい人。
私の幸せは今、ここにある。
じゃれ合って笑う。この幸せが、ずっと続く事を願いながら。
~完~
束縛帝王の溺愛 柚美。 @yuzumi773
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