「図書館の駐車場で、結婚するの?って、彩ちゃんが聞いたの覚えてる?」


「……」


「彩ちゃん」


「覚えてる…嫌な言い方して…」


「俺は、君以外との結婚を考えた事はない」


「……」


「彩ちゃん」


「うん…」


「この気持ちに、今君が高校生とか関係ない」


「四季くん…」


「何?」



四季くんはどうしてそこまで…



「変わらず想ってくれるの…?」



一途な思いは儚い事を知っている。



「君は自分の事には意識が向かないんだな…」


「どうゆう事…?」


「気づいてないだろ」


「何が?」


「自分がどれだけ魅力的な女性か」



わたしが四季くんの言うように、魅力的な人間だとしたら。



「四季くんがわたしをそうさせてるんだね」


「え?」


「四季くんがわたしにくれる言葉は、どれも優しいものばかりで。わたしは自分が優しい人間になった気がするの。わたしは四季くんの存在によって生かされてるんだね」


「君はほんとに、俺を不思議な気持ちにさせる…」


「こんな事言うとね…子供っぽいかもしれないけど…」



彼は黙ってわたしを見つめる。




「四季くんはわたしの王子様」



まるでおとぎ話に出てくるような…




「え?」


「四季くん、早くわたしを迎えに来て」



…まだかまだかと、その時を待ち望んでいる。






(完)

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まどろみ リル @ra_riru

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