8
「図書館の駐車場で、結婚するの?って、彩ちゃんが聞いたの覚えてる?」
「……」
「彩ちゃん」
「覚えてる…嫌な言い方して…」
「俺は、君以外との結婚を考えた事はない」
「……」
「彩ちゃん」
「うん…」
「この気持ちに、今君が高校生とか関係ない」
「四季くん…」
「何?」
四季くんはどうしてそこまで…
「変わらず想ってくれるの…?」
一途な思いは儚い事を知っている。
「君は自分の事には意識が向かないんだな…」
「どうゆう事…?」
「気づいてないだろ」
「何が?」
「自分がどれだけ魅力的な女性か」
わたしが四季くんの言うように、魅力的な人間だとしたら。
「四季くんがわたしをそうさせてるんだね」
「え?」
「四季くんがわたしにくれる言葉は、どれも優しいものばかりで。わたしは自分が優しい人間になった気がするの。わたしは四季くんの存在によって生かされてるんだね」
「君はほんとに、俺を不思議な気持ちにさせる…」
「こんな事言うとね…子供っぽいかもしれないけど…」
彼は黙ってわたしを見つめる。
「四季くんはわたしの王子様」
まるでおとぎ話に出てくるような…
「え?」
「四季くん、早くわたしを迎えに来て」
…まだかまだかと、その時を待ち望んでいる。
(完)
まどろみ リル @ra_riru
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