第42話
『ナオさん、すみません。警察の方がみえられてます
「分かりました」
受話器を戻すと、再び、呼び鈴が鳴った。
急いで玄関に向かい、ドアを開けると、大木さんと、もう一人、五十代くらいの眼鏡を掛けた女性が立っていた。僕を一目見て、何故か、大きく目を見開いた。
「取り敢えず、中に入りませんか⁉」
二人を招き入れ、テーブルへ案内した。
「昼飯まだなんだろう。食べながらでいいぞ。俺らは、先、食べてきたし。あと、お茶もいいから」
「でも・・・」
「本当に、気を遣わなくていいから」
川木さんに念を押され、椅子に腰を下ろした。
「私は、児童養護施設『ルピナスこども園』の園長をしてます、渡会と申します。吉澤ナオさん、今は、皆木の苗字になったと伺いました。とてもいい方に巡り会えて良かったですね」
彼女とは初対面だけど、ルピナスこども園は、知ってる。母を亡くし、姉も行方不明で、身寄りがなかった僕は、ここに引き取られる予定だった。でも、海斗の両親が、待ったを掛けて・・・。市の福祉課や、児童相談所の職員に、何度も頭を下げ、家裁にも何度も足を運び、僕を養子に迎えてくれた。
「実の子供の様に可愛がって貰ってます」
「貴方の幸せそうな笑顔を見れば、分かります」
「あの・・・何で、わざわざ、僕に会いに来たんですか⁉」
「それは、貴方に引き取って貰いたい子供がいるから・・・お姉さんの早織さんが、産んだ女の子を、『自分の子』として、育てて欲しいの」
「姉さんに、子供が・・・嘘・・・」
予想だにしていなかった事に、ただ、ただ驚くしかなかった。
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さみしがりやに降る恋は 彩矢 @nanamori-aya
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