第31話
「あれでは花ちゃん、婚期を逃してしまいますよ。」
義兄弟羊羹を口に運ぶ飛竜。
「そうだな。」
玉露を一口すする士竜。
「ーこれは…」
二人は驚き顔を見合わせる。
うまい!
晴子と花は、何事もなかったかのように、同級生達と談笑しながら、あんみつを食べていた。
樹は一人苦虫を噛み潰したような顔をしている。
「おい樹。」
「ん?何だ陸王。」
「お前が浅舞に来た理由はこれか?」
陸王は花を見やる。
「あー…そういう訳じゃなかったんだが…。まさか花に告るヤツがいるとは。
無理言って、来てよかったのかもな。あいつ超箱入り娘だから。」
樹はニヤッと笑って陸王を見た。
「箱入り娘ね…。」
花の恥じらう姿を思い出し、顔がほころぶ陸王だった。
こうして
「陸王。気になった女性はいましたか?」
「…そうですね…。」
陸王の反応に肩を落とす二人。
陸王の嫁探しはまだまだ続く。
奈岐の国恋物語 上 空雪 @sorayukito
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