第30話

そんな花の反応に

「っゴホッ」

陸王がクッキーをむせる。

「…かわいい…。耳まで真っ赤ですよぉ?!」

感動する飛竜。

「あ~っ女生徒と付き合いたい!」

「不適切な発言をするな飛竜!」

怒る士竜。



「つっつき合いません!」

公衆の面前で告白されたことに恥じらい、真っ赤な顔を隠すように両手で頬を覆う花。

「あー。やっぱり可愛いな。ねぇ付き合おう?」

佐田は花の顔を覗くように腰を屈ませる。


「おい。…お前。」


ゆらりと立ち上がる樹。

「へ?」

樹は花を押し退け、佐田の前に仁王立ちになる。

「告るんだったらなー…。一人前になって、俺の許しを得てからにしろぉぉ!!」

尻上がりにボリュームが増していく声。

「はいー!」

樹の剣幕に佐田は逃げていった。

「ふん。」

樹の行動は、その場にしばしの沈黙をもたらす。

「何ですかアレは。」

「完全なる兄目線だろう。」

飛竜の問いに答える士竜。


「ちょっとあんた!何してくれてんのさ!!」

バシッと樹の背中をはたく晴子。

「いってぇ何だよ!!」

「花の初めてのロマンスだったのに!」

「あ~ロマンスだあ?!いいんだよ。どうせ断れねーんだから。」

「ちゃんと断ったもん!」

「そーよ!」

「ああいう奴にはなぁ、俺みたいなのがガツンと言った方がいいんだよ!」

「もう最低ー。行こう花。あんみつ食べよ!」

「うん!」

樹は思わぬ妹分たちの反応に、頭をボリボリ掻き、陸王の隣にドカッと座った。

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