『隠れ鬼』は、いつまでも終わらない。

その土地の『由来』を知らないと、後で
怖い思いをするかも知れない。
知っていたのなら思い出せ。そして、
 もし 知っているのならば。

いつも薄気味悪く、疎ましく思っていた
近所の廃屋が解体された。そして代わりに
小洒落たアパートが建ち、入居して来た
若い世代の子供達の賑やかな声が響く。
明るく様変わりした周囲の風景。

 だが、異変が起こる。

段ボール箱の中、ビニールシートの下、
そして水の張られた風呂の蓋の下で。

まるで何かに唆された様に子供達の奇行が
広がって行く。
        見つけて貰い易い所に。
 かくれんぼ。
       おじいさんに言われた。
鬼が来る。
     飴を貰った。
           あの、甘い飴は。
         
 それは遠い記憶の底に。

忘れていた記憶が蘇る。嘗て、大きな家が
あったこの場所で、子供の頃に体験した
不穏な記憶。
       祠が、あった筈だ。

あの場所で、子供の頃に飴を貰った。
酷く悍ましい何かを見た。友達は消えて
自分は記憶を消した。

 おじいさんが手招きをする。

まだ カクレオニ は、終わっていない。