第7話
――あの日。
「玲央が私の全てなの」
遥の気持ちを聞いて、玲央のことを男の子として好きだったと気が付いてしまったと遥に告げた。
何年もイジメられてきた中で、玲央だけが希望の光だった、と。
私から玲央を取らないでほしいと泣きながら懇願した。
「ごめんね、萌奈。何も知らないでごめんね。大丈夫だよ、大丈夫。私の好きなんてアイドルに憧れてるようなもんだったし。付き合いたいとか、そういうんじゃないから、ね」
「ごめんね、遥。私のワガママのせいで……、ごめんね」
私を抱きしめて自分のことのように、泣きながら心配してくれた遥。
私もそんな遥を抱きしめ返して、泣いた。
これで大丈夫。
たとえ玲央から告白されたとしても遥は断ってくれるはずだ。
だって、もしも二人が付き合ってしまったなら。
遥は玲央を優先しちゃうでしょ。
私にとっては、遥は初めての親友なのに、玲央に取られてしまうかもしれない。
私はこのままずっと、遥と楽しく過ごしていたいだけなの。
「本当にごめんね、遥」
「ううん、私こそ、ごめんね?」
ギュッと強く抱きしめられて、遥の肩に顔をうずめた。
泣いたフリをして、笑ったことを知られないように――。
~It's mine~
It's mine 東 里胡 @azumarico
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます