第56話

「「「それは……???」」」


「……」



ゴクン……と涼子さんの唾を飲む音がやけに大きく響いた。




























「料金によって、だ」


「「「料金か」」」


「っっ」



納得。


あたし達は深く頷いた。



涼子さんの顔色が真っ青を通り越して真っ白に。



高い金額ほど……良い情報が手に入るという。



ケータイ番号。


ラインID。


家の住所、といったところか。



「職権乱用」


「クズだな」


「男の風上にもおけないっ」



珍しく風磨も怒ってる。


下の者を守るのが上に立つ者の役目だ。


風磨はそれを良くわかっているからな。



「大丈夫ですか?」



涼子さんの背中を擦りつつ聞くも、返事はない。



考えているのだろう。


自分の情報がどこまで売られているのか。



「で?その女は?」



風磨が雷斗を見る。



「自分がやってることが悪いことだとはわかってたみたいで」



何度も何度も謝りながら、名前と生年月日が書かれた紙と写真を処分してほしいと。


写しや控えがないことを確認して女を帰し、雷斗はそれを持って帰ってきた。


店長に見せる証拠として。



「因みにその名前と生年月日と隠し撮り写真でお幾ら?」


「お前……」


「買う気じゃないだろうな……?」


「違わいっ!!」



地佳の質問にあたしと風磨は半眼で奴を見る。


アワアワと手を振って誤解だと叫ぶ地佳。



「名前と生年月日と隠し撮り写真で2万」


「「「たっっか!?!?」」」



驚愕。


いや、高いと言って良いのか?


個人の情報を高いと。



「でもそれなら」



あたし達は顔を見合わせ頷き合う。


今日、涼子さんの家に行ったけれど不穏な空気はなかった。


男の影もなかった。



そして待ち合わせ場所、時間などをわざわざコンビニまで言いに来たことから考えられるに



「まだ涼子さんのラインIDに住所などは買われていない」



可能性が大だ。

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バラガキたちの行進曲 めけこ @mekeko-427

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