第55話

「続けて良いか?アホ共」


「ちょ、あたしはアホではない」



地佳と一緒にしないでほしい。



「いや、アホだから。海も十分アホだから」



地佳が言う。



「ああ?」


「うん?」



誰がアホだ。


ゴチっとオデコを合わせ睨み合う。



「今後ろから押せばキス出来そうだな」


「「止めろ」」



恐ろしいことを言う風磨。


オデコを合わせたまま風磨から距離を置くあたし達。



「俺は」



おぅ。


痺れを切らした雷斗が話しの続きを。



「買い物の済んだ女の後を追って声をかけた」


「おお」


「雷斗にしては積極的」


「可愛かったんだな?その女のコ……危ねぇっ!!」



めっちゃ不機嫌顔の雷斗がいらない事を言う地佳に向けてドライヤーを投げた。



「お前と一緒にするな」


「「それな」」


「なぁんでだよっ」



『アンタさっき何を買った?』



長引かせる気はなかったと、即用件を聞いたんだって。


最初はとぼけていた女も、雷斗の真剣(不機嫌)な表情に観念して差し出したのだという。



「男の名前と生年月日が書かれた紙と隠し撮り写真」


「っっ」



涼子さんが息を飲む。


間違いなく涼子さんの個人情報や写真も……。



しかし



「なんで生年月日?」



そこはケータイ番号とかじゃないの?


生年月日……いる?



「俺もそう思った」


「俺も、生年月日よりケータイ番号の方が超嬉しい」



あたしの言葉に、風磨と地佳が頷く。



涼子さんは血の気の引いた顔で雷斗の続きを待っている。



「それは」

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