バラガキたちの行進曲

第54話

沈黙が部屋を支配する。

正確にはドライヤーの音だけが響く。

それも

「終わったぞ」

「ありがとう」

終わり、雷斗が髪を櫛でといてくれた。

「いつもしてくれて良いんだぞ？」

めっちゃ楽チン。

「あ？調子に乗るな」

おお……怖。

「……嘘、ですよね？」

「涼子さん」

「そんな」

怖いだろう。

信じたくないだろう。

当たり前だ。

職場の上司が自分の個人情報を売ってるなんて。

問題は一体どこまで売っているか……だ。

「涼子さん。うちのコイツ（幼馴染み）は、まぁ態度はデカいし」

「おい」

「口も悪い」

「……」

「でも」

あたしは、しっぶい顔をしている雷斗を見て。

そして真っ直ぐ涼子さんを見る。

「人に恐怖を与えるような、人を陥れるような嘘は絶対につかないんですよ」

幼馴染み以外興味がないような奴だけど、人をちゃんと思いやれる優しい奴なんですよ。

「あ……私っっ」

自分が酷いことを言ったと気付いた涼子さん。

「力を貸してもらっているのになんてことを……」

ごめんなさい！！と雷斗に頭を下げた。

「……いや」

「まぁ、しょうもない嘘はつくけどね！！」

「つくな」

「それな」

「……おい」

地佳の言葉に頷くあたしと風磨。

更にしっぶい顔になった雷斗にあたし達は笑う。

涼子さんも。

「俺がコンビニに行ったら、店長が居てレジで

客と話してた」

雷斗がコンビニであったことを話し出す。

話しからしてその客に情報を売るということで。

「その客って」

「女だ」

「ほぅ」

…………ん？

「女？」

「女」

「えー！？俺の情報がっっ」

「「「お前のじゃねぇよ」」」

「えっ！？」

なんで地佳の情報をコンビニの店長が売るんだよ。

「アホなの？……アホか」

「アホじゃねぇ！！」

えー……。