World30 報酬がたんまりってマジっすか!?

「ソウタさん、報酬が御用意できました!」


次の日ギルドを訪れると、ギルドの受付嬢たちが総出で俺をニコニコ笑顔で待ち受けていた。


「なんだアイツ……」

「ほら、例の指名依頼の……」


そのせいで周りからえらく注目を受けている。俺はフードで顔を隠すが、多分身元はバレてしまっただろう。


「これが報酬です!」


机の上に置かれたのは小さな紙。そこには金額が書かれている。


「いち、じゅう、ひゃく、せん……」

「1億シルです」

「いち……!?」


いつもの受付嬢が俺に耳打ちして、ささやく。


「討伐報酬が5500万、討伐証明部位の水晶が5500万です」


1体1000万のクマを、俺は11体も倒したのか。ヤバいな。……ん?合計、1億1000万じゃないのか?


「とりあえず、営業時間外にお越しください。とりあえず、この1000万シルをお渡しいたしますので。くれぐれも盗まれないように注意してくださいね」

「はい……」


これだけの大金を渡されたんだ。盗まれないわけがない。そのあたりは俺のほうで対策を練るとするか。




と、いうことで。


「……すみませーん!」


俺は大通りにあった、マジックバッグ専門店にやってきた。


「マジックバッグが欲しいんですけど……」


ぶっちゃけ無限収納があるから平気なんだけど、なにもないところから金が出てきても困るだろう。マジックバッグは持っておくに越したことはない。


「へえ……」


いかにも化粧が濃くてケバケバとした婦人が俺の前に現れ、俺を値踏みするようにジロジロと見る。


「アナタ、冒険者ね?ランクは?」

「……Eです」

「E!?それでウチのバッグを買おうっていうの!!へえ!」


……何か文句でもあるんだろうか。別になんだっていいじゃないか。


「こちらなんてどうでしょう?」


……あからさまに中古品を勧めてくるな。


「別のものを見てもいいですか?」

「ではこちらはいかがでしょうか」


そして差し出してきたのは無駄に大きなドサ袋。神眼で見通す限り、容量が1.5倍しかない。いらない。


「あの!もう少しまともなもの出してほしいんですけど!」

「たかだかEランクのお子様が何を言っているの?アンタにはこれくらいで十分よ!」


お子様、ねえ……ナメてると天罰が下るぞ。

……まあ、その天罰を下すのは俺なんだけど。


「じゃあアレ。いくらですか?」


俺が指さしたのはショーケースに入った小さなバッグ。俺みたいなお子様にはまさにぴったりなコンパクトサイズだ。


「1000万シルになります」


……ぼったくりだな。相場は200万って神眼が教えてくれてるんだよ。


「じゃあ、これで」


俺は200万分の硬貨を差し出し、バッグを受け取ろうとしたのだが。


「足りませんけど?お子様は計算もできないの?」

「それ、本当は200万ですよね?」

「なっ……」


本当なら帰りたいところだが、これの品質は確かだ。まあこの店には二度と来ないけど。


「では」


オバサンが何か叫ぶが、俺はそそくさと店を出た。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

次の更新予定

3日ごと 09:00 予定は変更される可能性があります

新世界〜37歳社畜童貞の俺が異世界の神になるってマジっすか!?〜 茨 如恵留 @noel_0625

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画