World29 食えないじいさんがいるってマジっすか!?

外は真っ暗だ。早めに宿に行こう。


「ソウタ!!」


ギルドから出ると、ちょうど戻ってきたメイナとミラに会った。


「ただい……」

「心配したんだからね!」


メイナが俺を見た途端、勢いよく抱きついてきた。待ってメイナ。なんか色々当たってて息が苦しい。


「うん、私も気が気じゃなかった」

「死んじゃうかと思ったぁ……!!」

「うっ……」


更にメイナが俺を抱きしめる力を強くする。そろそろギブなんだけど。普通に考えて、骨折れてもおかしくないからね?


「めいなぁ……ぐるじぃ……」

「あっ、ごめん!」


あー危なかった。絞め殺されるかと思った。クリスタルベアよりも身の危険感じたわ。


「メイナとミラは俺がいない間、何をしてたの?」

「あの魔鉱石屋さんに文句言ってたんだよ!ソウタに無茶な依頼出したから!」

「オーヴェンさんね……なんて言ってたの?」

「彼はヒューマンじゃないから大丈夫ですってさ!意味わかんない。ギルドの測定器でもヒューマンって出たのに、何言ってるんだろう?」


ああ……俺の種族今、世界神なんだよ。……まさか、バレてる?


「俺、ちょっとオーヴェンさんに会ってくるよ」


口止めが必要かもしれないからな。俺はメイナとミラを置いて、あの魔鉱石屋に向かった。




「すみません、間もなく閉店なんですけど……」

「オーヴェンさん」

「……ソウタさん?」


初老の彼は俺を見ても驚愕する様子はない。俺を殺そうなんて魂胆はなかったみたいだ。


「もしかして……鑑定魔法でも持ってます?」

「そうですよ。一体どうしてそんなこと聞くんですか?」

「俺がヒューマンじゃない、と言ったそうですね」

「ヒューマンなんですか?」

「俺の種族、分かってないんですか」

「私は鑑定魔法には自信があったんですが……どうもあなたの種族だけは視えないんですよね。でもその様子を見るに、本当にヒューマンではないんですね?」


なるほど。俺の神眼と違って全部見えるわけじゃないんだね。それはこちらとしては助かる。

問題は、俺のことを試そうとしてることだけど。


「なんだと思います?」

「架空の存在ですけど……天使、とか」


天の使いって意味では当たらずとも遠からずか。なるほど、おもしろい。


「当たってます?」

「いいえ」

「じゃあ、君は……?」

「似たようなもんですよ」


よし、帰るか。オーヴェンが俺の敵に回る心配はなさそうだ。

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