World28 野宿が危険ってマジっすか!?
俺は朝、窓から射す光で目を覚ました……のではなく、あまりの騒音で目を覚まさざるを得なかった。
その騒音の正体が、魔物の鳴き声だった。
「うわ……」
小屋の窓から覗くと、様々な魔物が俺を狙っていた。クモとか、ゴブリンとか、エグいって。俺ここから出た瞬間に襲われるよね?
「はあ……」
正直俺の魔法なら勝てると思う。何体相手だろうと原初魔法で吹き飛ばせばいい。
でも。
「エクレー……」
『管理者権限:セヴェトからの警告。この規模で魔法を行使すると世界内の生態系が著しく損なわれます』
ですよねー。ていうか俺襲われかけてんのに生態系とか気にしてらんないんだけど。
『また、周辺100㎞の魔道具などに影響が出る恐れあり』
停電かあ。それはまずいな。ここで撃った魔法の影響がルウォーリまで出るってことだろ?っていうか、ルウォーリどころかアルバリアまでやばいんじゃないか?
『各個撃破を推奨します』
一体ずつ倒せってこと?めんどくせー。
「【
連発して魔法使うの、結構疲れる。集中力が要るし、なかなか当たらないし。本当に一気に焼き尽くしてしまいたい……。
そこで俺は、魔法を初めて使ったあの日のことを思い出した。
適当に魔法名叫んだだけであの有り様。もう、あんなことを起こしたくはない。
しかたない。やろうか。
10分後。
……はあ。なんでこんなチマチマしたことやらないといけないんだ。
俺神だよ?なんでサクッと魔物を片付けることもできないんだろう。なんでそんな便利な魔法を作らなかったんだろう。
『管理者権限:セヴェトからの回答。それは創造神ニーナが発動規模と理想だけを追求した魔法を創造したからです』
うるせえやい!あと最近よく喋るなオマエ!
「グオ……」
また出たよ。一体どうしてこんなに魔物が……?
「終わったあ……」
いくら魔力が無尽蔵とはいえ、魔法を使い続けると脳の方に負担がかかってしまう。木は何十本も折れてるけど、これくらいなら俺が魔力を注げばすぐに再生するみたいだ。
太陽はまだ沈んでいない。今から戻れば、夜までには着くだろうか。
「……え?ソウタさん?」
ギルドの受付嬢があんぐりと口を開けて俺を見ていた。開いた口が塞がらないままの彼女に俺は、クリスタル・ベアの頭を置いた。
1つ、2つ、うん、手で置くのも面倒だ。このままマジックバッグひっくり返して……。
「討伐数の記載がなかったので……いた奴全部倒してきました」
「……はあ?」
「あっ、もしかしてだめでしたか?」
「いや、どうやってこんなに……?1体倒せれば上々だと思ってたんですけど。これ、20体分以上ありますよね?」
「はい」
なんだ、1体でよかったんだ。じゃあ1日で戻ってこれたじゃん。
「どうやってこんなに倒したんですか?」
「えーと……強い氷魔法で」
「じゃあ、野宿は?」
「野宿?」
「あの地帯では原則野宿禁止ですよ……?あのあたりは人間の匂いに敏感な魔物が多いので、寝ている間に魔物が大量に寄ってくるんです……」
受付嬢が顔を真っ青にする。たしかに魔物は多かった。っていうか、早く言ってほしかったんだけど。
「お渡しした書類に記載してあったはずですが!?」
なるほど。俺の不注意ってことね。
「すみませんでした」
「無事だったからいいんですけど。メイナさんとミラさん、心配して飛び出していきそうだったんですからね」
それは本当に申し訳ない。あとで謝ろう。
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