World27 俺が神がかってるってマジっすか!?

「……よしっ!」


森の中に土魔法で小屋を立て、俺はその中に入った。真っ暗な部屋に炎魔法でランタンを置いたら、食事の準備だ。


木の枝と石で肉を焼く準備をする。某有名ゲーム風に肉をぶっ刺して、火を焚こう。


俺のひとり暮らしスキルがこんなところで役に立つとは。肉をさばくのも久しぶりだな。捌くって言っても、包丁ないから風魔法使ってるけど。さすがにガビにもらった剣使うのは駄目だからね〜。


「ふんふ〜ん、ふふふ〜ん」


うわ、今の俺キモいかな。まあ誰も見てないからいいでしょ。

昔は隣の部屋に住んでたカップルに聞かれて恥ずかしい思いしたけど、今なら聞いてるとしても魔物くらいだし。


にしても肉切るのすごい楽しい。魔法だから手応えはあんまりないけど、絵面が非常に愉快だ。

ヴォンヴォン風音が鳴るのも、こりゃまた新鮮だし。




てってれー。


「上手にやけ……」


おっとこれ以上はいけない。一度言ってみたかったけどしょうがない。やめとこう。


俺は巨大肉に思いっきりかぶりつき、ゆっくり咀嚼そしゃくした。


「うまっ!俺が創造したクマ肉うまっ!!そういや調理したのも俺だよね。俺天才!?やっべえ……」


天才なのも当たり前か。俺、神だし。


この体になってから、腹もすごい減るんだよな。食欲も中学2年生に戻ったみたいだ。俺としては、胃もたれする37歳の体より絶対こっちのほうがいいけど。肉をいくらでも食えるって、とんでもない幸せだからな。


俺はガブガブと肉に食らいついて、肉汁で口が汚れまくるまで夢中で食事した。


「ふー、美味かった」




食事の片付けをしたあとランタンの明かりを弱め、俺は横になった。


「おやすみ〜」


今日はメイナもミラもいない。だけど、ちゃんと挨拶するべきだと思う。人間らしさを忘れてはいけない。たとえ、前世ではそんな相手もいなかった俺でも。




布団は持ってきている。俺はそれにくるまって、目を閉じた。地面は固いけど、我慢するしかない。野宿とはそういうものだ。


「すー……」


俺はぐっすりと眠っていた。そのはずだった。




朝、目を覚ますと魔物の鳴き声が大量に聞こえるって……マジっすか?

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