名もなき本の1ページ

01.最後の一撃

少女は剣を握る

目の前の魔物を殺すために

傷だらけになった細い体を奮い立たせ

一歩また一歩、魔物に向かって歩む

魔物は牙を剥き出しにして

近づいてくる少女に唸り声を上げる

切り刻まれた体

引き裂かれた翼

死を覚悟した魔物の目に映る少女の姿

しかしその瞳に怯えはない

少女が剣を振り上げる

体は震えその目には涙が浮かんでいた

歯を食いしばり剣を握る手に力を込めた

剣が振り下ろされれば終わる

剣を振り下ろせば終わる

終わらせなければ

大きく口を開けて

魔物は少女に飛びかかろうとした

少女は大声をあげて

その剣を振り下ろした

その一撃ですべてが終わった

少女は大声で泣き叫んだ

剣を突き立てられた魔物の体は

黒い光の粒になり消えてゆく

役目を果たした少女は

力なくふらふらと体を揺らしながら

一歩また一歩と歩きだし

高い崖から身を投げたした