第4話
フィリスの悲鳴が響く中、レイは焦りの中でスマホを操作していたが、画面に表示されていたのは「システムエラー」のメッセージ。どれだけタップしても反応せず、彼の持つ力は今、完全に無効化されていた。
「くそっ、どうしてなんだ!」
フィリスの目の前には、制御を失ったモンスターが迫っている。彼女は剣を構え、必死に応戦しようとしていたが、その巨大な影に圧倒されつつあった。
レイは瞬時に判断を下す。このままでは彼女が危ない。しかし、スマホが動かない今、彼には物理的に何かをするしかなかった。力が使えないなら、まずフィリスを守ることを最優先に考えた。
「フィリス、下がれ!」
レイは叫びながら彼女に近づき、咄嗟に彼女の手を引いた。モンスターの一撃が地面に衝撃を与え、土煙が舞い上がった。フィリスは驚きながらもレイの言葉に従い、一歩退いた。
「でも、あのモンスター、どうするの!?」
彼女は焦りの声を上げたが、レイは内心冷静を保ちながら答えた。
「俺がなんとかする。とにかく、安全な場所に行ってくれ!」
「…………、分かったわ。でも、死なないで。」
「分かっている。」
フィリスは一瞬ためらったが、レイの真剣な表情を見て決意したかのようにうなずいた。彼女が後退するのを確認すると、レイは改めてスマホを確認した。エラーメッセージが表示されたままだが、どうにかこの状況を打開しなければならない。
「どうすれば……エラーが解消できる?」
プログラム開発者としての経験が瞬時に働き、レイは画面を注視した。エラーの原因を探りながら、設定を少しずついじり、問題の箇所を突き止めようとした。データの不整合、モンスターの設定バグ、複雑に絡み合うコード……何かが引き金となり、予期せぬエラーを発生させている。
「たぶん、モンスターの属性データが重複してるんだ…!」
彼はすぐに編集モードに移行しようとしたが、それもエラーの影響で正常に動作しなかった。ならば、最も単純な方法でエラーを修正するしかない。レイは手動でデータを消去し、強制的にモンスターの存在自体を無効にしようと考えた。
「これが最終の手段だ……!」
レイは画面上のモンスター設定にアクセスし、すべての属性データを一つずつ削除していった。削除作業が進むと、モンスターが1体ずつ消えていった。フィリスが遠くからそれを見て、驚いた声を上げる。
「モンスターが…消えている?どうして?」
レイは汗をぬぐいながらスマホを操作し続けた。モンスターが完全に消えるまで、時間が必要だったが、あと一息だと感じた。
「もう少しだ…持ちこたえてくれ!」
ついに最後のデータを削除すると、モンスターは霧のように消滅した。フィリスはその場に立ちすくみ、驚愕の表情でレイを見た。
「今のは…一体何が起こったの?」
レイは心の中で安堵の息をつきながらも、表情には冷静さを保ったままだった。
「俺もよくわからない。神様が何かしてくれたんじゃないかな?とにかく無事でよかった。」
フィリスは疑いの目を向けつつも、レイの言葉に納得したようにうなずいた。
「そうね……ありがとう、レイ。君がいなかったら、危なかった。」
レイは微笑みながらも、内心ではまだ緊張が解けなかった。スマホのエラーを処理しきったものの、この異世界で自分の能力を使うことがいかにリスクが高いかを痛感していた。
「次に同じようなことが起きたら、どうすればいいんだろう…」
レイは自分の力をどう使っていくべきか、さらなる課題に直面していた。しかし、今はそれを表に出すわけにはいかない。この世界での生活を続けるために------
異世界ゲームクリエイター、異世界で神になる やまもどき @yamamodoki
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