新宝島

枕詞

第1話 私はそう息子に伝えて死んだ。

或る時の王宮。

辺りは薄暗くなり始めていた。「国王陛下!大丈夫ですか?」バトラーはそう私に質問した。バトラーは心配そうに私の顔を見つめていた。

まるで小熊を心配する母熊のようだ。

「いや、もう残された時間はないのかもしれない。息子を呼んでくれないか?」

私は残された気力を出し切ってそうバトラーそうに言った。

バトラーは覚悟を決めた顔で退室していった。5分後息子は悲しい表情を浮かべながら、私に近づいてきた。

「父さん、、、。」と震えた声で私の名前を言った。

息子が私の名前を言った直後静寂が訪問してきた。

私は静寂を破って息子に伝えた。

地下室に本棚がある。

そこに行って右側の日記コーナーの一番上の段の左から8番目の日記を読め、、、と。

「そうすればお前がどのように国を統治すればよいかがわかる。」

私はあたりを見渡してみた。

辺りはもう暗くなっていた。

風は強く、折れた木の枝が風に運ばれていた。

男の子はポケットに手を入れ、女の子は髪を靡かせていた。

時間の流れが妙の早く感じた。

私はバトラーに一人にしてくれと頼んだ。

死が私の寿命の扉をノックする。

私はレコードプレーヤでビートルズの「let it be」を聞いた。

私は死に際にはこれを絶対に聞きながら死ぬと心から決めていた。

その時が訪れた。

そうして私は息を引き取った。

王宮の国王の寝室にはまるで赤子を慰めるララバイにように「let it be」が流れていた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新宝島 枕詞 @moreandmore123456789

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画