第2話 人を呪わば
人を呪わば穴二つ、という言葉をご存知か?
他人の不幸を願い陥れようとすれば、自分もまた不幸になる覚悟をしなければならないという教えだ。
このことから、他人の墓穴だけではなく自分の墓穴も用意せねばならないという教訓が転じて生まれた言葉だとも。
また、このように自分もまた不利な状況になるということから墓穴を掘るなどという表現も生まれたのだとか。
個人的には他人の墓穴を用意するより先に、自分の墓穴を用意しろと突っ込みたくなった次第だが、どうやら人は他人の墓穴を用意してでも恨み晴らさなければならない事情があるらしい。
しかし、私はこの文字列を見てふと疑問に思うわけだ。何故、他人を呪うことを前提にしているにも関わらず人を他人と書かないのか。
己が思うに、これは他人だけではなく呪う対象に自分自身も含まれているからではないかと考えている。
他人を呪いたいほど憎悪するのと同じように、自分が犯した過ちや後悔を憎悪し自分を呪うことだってあるだろう。自分を呪って自分に呪いが帰ってくるのなら、墓穴は一つで十分だ。
そう考えると、自分のものだけでなく他人の墓穴を用意してしまうのは失礼極まりないのかもしれない。
要するに、どちらにせよ人を呪う行為は慎んだ方が良いということにならないだろうか。
無意味な詩集 黒ノ時計 @EnigumaP
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