オタク履歴その② ポケモン

 読者の皆さんの中に、このゲームの存在を知らないという人はほとんどいないと思う。「ポケットモンスター」、縮めてポケモンは、日本が世界に誇る国民的ゲームの一つだ。大人から子供まで、多くのファンを夢中にさせてきた。

 このジャンルとも、幼稚園児の頃からの付き合いだ。私が初めてプレイしたのは、ゲームシリーズ第二作目にあたる「金・銀」だった。サンタさんからのクリスマスプレゼントという建前で貰ったのだ。クリスマスツリーの下に、「金・銀」のソフトとゲームボーイカラーと通信ケーブル、そして何故か初代のマイナーチェンジ版である「ピカチュウ」パージョンが置いてあったことは、今でも鮮明に思い出せる。豪華なプレゼントに見えるが、私には弟がいるので、このプレゼントは弟との共用だった。

 ゲームは、両親や年上のいとこに手伝ってもらいながらプレイしていた。一番好きになったポケモンはピカチュウではなく「マリル」だった。マリルは、ぬいぐるみを買ってもらうほど好きなポケモンとなった。

 放映していたアニメも、物心ついた時にはすでに毎週見る習慣がついていた。木曜日の夜七時からはポケモンの時間。身体がすでに覚えていたし、映画も家族で見に行った。劇場版第二作目の「ルギア爆誕」で、山寺宏一氏が演じた伝説のポケモン「ルギア」があまりにもカッコよくて、胸がドキドキした。今思えば、私が二次元に恋をしたのは、ルギアが初めてだった。

 小学生になっても、ポケモン好きは変わらなかった。そして小学二年生の頃に、シリーズ第三作目の「ルビー・サファイア」が発売した。母方の祖父母に、誕生日プレゼントとしてゲームボーイアドバンスを買ってもらったのだが、「ルビー・サファイア」が手に入ったのは、その年のクリスマスだった。発売日が私の誕生日の後だったのだ。だから多分、クリスマスまでは他のゲームで遊んでいたのだろう。あまりその辺りの記憶はないのだが。

 まあとりあえず、「ルビー・サファイア」は、クリスマスにサンタクロース(という名の両親)からのプレゼントとしてゲットした。私がルビーを、弟がサファイアを選んだ。

 ポケモンのゲームでプレイヤーが最初に手に入れるポケモンは、「炎」、「水」、「草」の三つのタイプのポケモンのうち一匹で、ポケモンを研究する博士から貰うのが恒例の流れだ(例外もあり)。私が最初に貰ったポケモンは炎タイプの「アチャモ」だった。この子が一番可愛いと思ったから選んだ。しかし最初のポケモンジム(中ボスにあたる施設で、ここのリーダーを倒してストーリーを進行させる)は、炎タイプの苦手とする岩タイプのジムだった。何度挑んでも負けて、私は必死にアチャモのレベルを上げた。すると、ある時いきなり進化(ポケモンはある程度育つと、より強力な力を持つ姿に変化することがある)した。私は感動のまま、アチャモ改め「ワカシャモ」と共にジムへ挑んだ。ワカシャモはとても強くて、あれだけ難しかったジムをあっさり攻略した。

 その後も毎日のように、学校から帰ったらポケモンをプレイした。仲の良い友達と集まってプレイすることもあった。ゲームは、手持ちのポケモンが進化する度に、見たことのないポケモンが現れる度に、私に感動を与えてくれた。特に、パートナーのワカシャモが再び進化した時のことは忘れられない。ワカシャモの進化系の「バシャーモ」は、アニメ版で、ゲームの発売前に登場していたから知っていた。だけど、可愛いアチャモから進化するなんて思ってもみなかったので、「ああ、この子だったんだ」と感動したものだ。そんなこんなで、ついに私はゲームをクリアした。生まれて初めてゲームを自力でクリアした瞬間だった。とても嬉しかった。

 その後に出たマイナーチェンジ版の「エメラルド」や、初代ゲームのリメイク「ファイアレッド・リーフグリーン」も、何かと理由をつけて買ってもらった(初代リメイクはファイアレッド版を遊び、リーフグリーンは弟の分だった)。だが、この二作品はクリアできずに投げた。

 また、アニメ版も相変わらず好きだった。映画は毎年見に行っていたし、主人公であるサトシのガチ勢になったりもした。ガチ勢期は、毎週木曜日が楽しみだったのを覚えている。

 しかし、成長するにつれ、周りはポケモンを卒業していった。同級生の間では「ポケモンは子どもっぽい」が共通認識になり、親も教師も、ポケモンに夢中になる私に訝しげな目を向けた。私も周りの目が気になったので、遂にポケモンをやらなくなった。

 弟はずっとポケモンをやっていたが、私は興味も湧かなくなった。

 しかし、しばらく経ったある日、ある事件が起こり、私は再びポケモンの世界に舞い戻ることになるのだが、それはまた後で記そうと思う。

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【リハビリ用】私のオタク履歴エッセイ 霜月 一三 @66126

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